承察度

承察度について

承察度（しょうさっと、生年不詳 - 1398年）は、古琉球の南山王国（山南王国）の初代国王として知られており、1337年から同国の王位を継承していました。その名は大里（うふさと）という地名の当て字であると推定されています。承察度の名前は、北山王国の王、怕尼芝と同じく、親子代々で使用されることが多かったため、その後継者も同じ名を名乗ったと考えられています。

歴史的な記録では、『明実録』に承察度の名前が記されています。この中で特に注目すべきことは、1380年に彼が初めて明へ進貢を行ったという事実です。この貢物の送還は、1383年から1385年にかけても続きました。特に1385年には、明の皇帝から南山王として銀印が下賜されたことが記録されています。これは、彼の権力の象徴でもあったため、承察度の治世の重要な一面を示しています。

しかし、承察度が持っていた王位の名誉に対して、実権は彼の叔父である汪英紫に握られていたとされています。そのため、承察度は名目上の王に過ぎない存在だったのかもしれません。やがて、汪英紫の息子である汪応祖が権力を奪い、承察度は王位から排斥されたという説があります。その後、朝鮮へ亡命したとも言われています。

また、1394年の記録には、中山王察度の使者が承察度の送還を求める内容が含まれています。さらに1398年には、南山王としての温沙道が、中山に滅ぼされたとされ、晋陽に亡命を余儀なくされたことが記録されています。この温沙道もまた、大里の当て字であり、承察度と同一人物である可能性を秘めています。

承察度の歴史についての解釈は近年、漢文研究者いしゐのぞむによって新たな視点で再考されています。彼は、承察度という名前が福建漢字音で新里（しんざと）と発音され、汪英紫が「おんあんじすい」（大按司添）、汪応祖が「おんあんず」（大按司）、さらには英祖が「あんず」（按司）といった発音になることを示唆し、南山王統の理解を深める試みを行っています。

承察度という人物は、古琉球の歴史において特有の存在であり、彼の治世やその後の運命は多層的で興味深いものです。明に対する進貢の記録や、汪英紫との権力闘争、さらに朝鮮への亡命といった出来事は、当時の琉球における国際関係や内政の複雑さを映し出しています。彼に関する資料は今なお研究が進められており、歴史の新たな一面が発見される可能性も秘めています。

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