投資ジャーナル事件

投資ジャーナル事件について

投資ジャーナル事件（とうしジャーナルじけん）は、1978年に設立された投資ジャーナル社による大規模な詐欺事件で、証券関連雑誌を発行していたこの会社は、株式の売買を巡る不正行為で大きな注目を集めました。

事件の背景

投資ジャーナル社の会長である中江滋樹（なかえしげき）は、著名な証券ジャーナリストであり、彼が発行する雑誌では「絶対に儲かる」株式の売買手法が紹介されました。中江は、様々な関連会社も設立し、「兜町の風雲児」として名を馳せていきました。このような背景をもって、彼は多くの投資家から資金を集めることに成功したのです。

中江は、彼の雑誌を通じて、読者から1人当たり10万円から数百万円の金額を徴収し、推奨する銘柄を紹介しました。さらに、保証金を預けることで最大10倍の融資が受けられると謳い、多くの利用者に「預り証」を発行しました。しかし、実際には株式そのものの引渡しは行われず、多くの人々が資金を失う結果となりました。この事件によって中江は7684人から580億円もの現金を詐取しました。

警察の捜査と逃亡

詐欺が発覚した後、中江は警察からの捜査を警戒し、妻や交際中の芸者らとともにアジア各地を逃げ回る生活を余儀なくされました。この逃亡は8ヶ月にわたり続きましたが、1985年6月19日に帰国した際、警視庁に逮捕されました。この逮捕には、中江を含む11名が詐欺容疑で拘束されたという背景があります。

事件の調査が進むにつれて、投資ジャーナル社のために、大物政治家や高級官僚に株の利益を渡していたことが明らかになり、その深刻さがますます増していきました。

裁判とその影響

事件の裁判は、その後の日本の投資顧問業の規制に大きな影響を与えました。中江は1989年に懲役6年の実刑判決を言い渡されましたが、当時は投資顧問業を規制する法律が存在しませんでした。この事件や誠備グループ事件をきっかけに、1986年には「有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律」（通称「投資顧問業法」）が制定され、発行者の登録制や認可制の導入が行われました。

関連事件と余波

投資ジャーナル事件とは別に、同じ時期に発生した豊田商事事件の中心人物が逮捕される直前に刺殺されるという事件も起こりました。これにより、投資に関する不正行為への社会の目がさらに厳しくなったと言えるでしょう。また、当時のアイドルタレント倉田まり子も中江の愛人との噂でメディアに取り上げられ、イメージが悪化し結果として芸能界を引退することになりました。

この事件は、日本における投資詐欺の象徴とも言える事件であり、その教訓は今もなお、多くの人々に警告を与えています。

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