択捉型海防艦

択捉型海防艦について

択捉型海防艦（えとろふがたかいぼうかん）は、日本海軍が第二次世界大戦の期間中に運用した海防艦の一つです。この艦級は、占守型[[海防艦]]を基にして設計され、主に南方航路の船団護衛を目的としていました。正式な艦艇類別上は占守型に分類されますが、基本計画番号はE19の異なるものとなっています。1943年から1944年にかけて、計14隻の同型艦が就役を果たしました。

企画と設計の背景

太平洋戦争が激化する中で、日本は南方地域からの資源輸送を確保する必要があることに気付きました。このため、長大な航続距離を持つ占守型[[海防艦]]を新たな護衛艦の基礎とすることが決定され、昭和16年度戦時建造計画（マル急計画）において30隻を建造する計画が立てられました。

1941年の10月10日に基本設計が決定され、建造が開始されました。設計の進展に伴い、一部の艦は海防艦乙型（御蔵型）として進められ、その後の日振型や鵜来型としての改良設計も進められました。これら艦船の設計は、占守型の設計をわずかに簡素化したもので、戦時に必要な製造のスピードを重視したものではありました。

構造的特徴

択捉型海防艦の設計は、対潜戦や対空戦への備えが十分ではなく、特に初期設計にはその点での不足が指摘されています。相違点としては、爆雷の搭載数が占守型から18個から36個に増加した点、舵や艦首の構造改善、そして軍艦籍でないことによる居住設備の簡略化が挙げられます。とはいえ、南方航路に配備が予定されていたにもかかわらず、暖房用の補助缶は設計のままで搭載されていました。平均工期は約11ヶ月で、スピーディーな建造とは言えませんでした。

戦歴と評価

択捉型海防艦の評価は、建造に関しては設計の遅れや不備により、敵潜水艦等による攻撃から十分に守りきれなかったことも影響し、必ずしも高くはありません。特に、初期設計の対潜・対空兵装の不足は、戦局の悪化に伴い深刻な問題となりました。

同型艦の一覧

この艦級には、以下のような艦が含まれています。

• - 択捉（えとろふ）: 1943年5月に竣工し、戦後は復員輸送艦として使用されました。その後、賠償艦としてアメリカに引き渡され解体。
• - 松輪（まつわ）: 1943年3月に竣工後、1944年にアメリカの潜水艦の攻撃を受けて沈没。
• - 佐渡（さど）: 同じく1943年に竣工、松輪と同様の運命を辿りました。
• - 隠岐（おき）: 1943年に竣工後、復員輸送艦として活用された後、中華民国に渡る。
• - 福江（ふかえ）: 1943年に完成し、戦後はイギリスに引き渡され解体。

この他、多数の艦が運用されましたが、いずれも第二次世界大戦の激動の中でそれぞれの道を歩みました。

終わりに

択捉型海防艦は、日本海軍の歴史の一部として、その建造や運用における多くの教訓を後に残した艦艇です。

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