押し出し (相撲)

押し出しとは

押し出しは、相撲における基本的な決まり手の一つです。相手の胸、喉、腋などの部分を、自分の腕や体を使って押し、土俵の外へ出す技を指します。相撲の決まり手の中でも、寄り切りと並んで非常に基本的な技とされており、多くの力士がこの技を駆使して勝負を決めています。相手を押し出す際に、相手が体勢を崩して倒れた場合は、押し倒しとなります。

押し出しのポイントは、相手のまわしを掴んでいる場合でも、体を密着させずに腕を伸ばして攻めることです。これにより、相手を押し出す力を最大限に発揮できます。また、まわしを取って押す場合でも、「土俵際ではまわしを離して押す」という実践的な教えがあり、これに従えば押し出しとして認められます。

押し出しの頻度

押し出しは、特に幕内力士の取組において、寄り切りに次いで出現頻度の高い決まり手です。このことからも、押し出しが相撲において重要な技であることがわかります。

押し出しを得意とする力士

押し出しを得意とする力士は数多く存在します。2023年9月場所現在、現役の幕内力士では、貴景勝、北勝富士、阿炎、玉鷲、阿武咲、碧山などが挙げられます。これらの力士は、その体格や腕力を活かし、相手を圧倒的な力で土俵外へと押し出すことを得意としています。

また、古くは大正後期の横綱である栃木山守也が、押し出しの名手として知られていました。彼の押し出しは、ほとんどの力士が対抗する手段を持たないほど強力であり、その技術は後世に語り継がれています。

押し切りとの違い

現在、公式な決まり手としては採用されていませんが、かつては「押し切り」という決まり手が存在しました。これは、現在の押し出しの一部を指すもので、押し出しとは区別されていました。押し出しと押し切りの主な違いは、以下の通りです。

本来の押し出し: 相手が堪える間もなく、一気に土俵の外に出した場合。
押し切り: 相手が土俵際でしばらく堪えた後、土俵の外に出した場合。

かつては、これらの違いによって使い分けられていましたが、現在では押し出しに統合されています。

まとめ

押し出しは、相撲の基本であり、力士の力量を示す重要な技です。その歴史は古く、多くの名力士たちがこの技を極め、相撲界に名を刻んできました。現在では、押し出しという一つの決まり手としてまとめられていますが、かつて存在した「押し切り」との違いを理解することで、より深く相撲の奥深さを感じることができます。

関連項目

相撲
大相撲の決まり手一覧
* 押し倒し

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