栃木山守也

栃木山守也について

栃木山守也（とちぎやま もりや、1892年2月5日 - 1959年10月3日）は、栃木県出身の出羽海部屋に所属した大相撲力士であり、第27代横綱でもあります。本名は中田守也（旧姓：横田）で、彼の生涯は相撲界の中で特に印象深いものとなっています。

生い立ちと入門の経緯

栃木山は1892年に栃木県下都賀郡の農家に生まれました。彼は幼少期から家業を手伝う傍ら、漢学塾に通う日々を送りました。17歳で結婚したものの、18歳で妊娠中の妻を残して上京し、出羽海部屋で力士としての道を歩み始めます。彼が角界入りを決意した背景には、地元の衰退への絶望感や、婚約者との関係の不調があったとされていますが、直の理由は明言されていません。

力士としての飛躍

1911年2月に初土俵を踏んだ栃木山は、以後、連勝を重ね、早々に番付を昇進しました。1913年には幕下まで上がり、わずか3回の黒星で喫した連勝は21に達し、史上最速の昇進として注目されました。1916年の新小結昇進時には、56連勝中の太刀山を破るという名勝負を繰り広げ、その記録は多くの人々を驚かせました。これを機に、栃木山は日本中の話題に上がります。

輝かしい横綱としてのキャリア

1917年1月、栃木山は新関脇として優勝を飾り、同時に大関に昇進しました。翌1918年には横綱に昇進し、5連覇を含む9回の優勝を果たします。横綱在位中、彼の勝率は驚異の93.5％に達し、その安定感から「近代最強力士」とも称されました。特に、非常に速い土俵入りで知られており、そのスタイルは後の横綱たちにも影響を与えました。

突然の引退

栃木山は1925年に突然の引退を決意します。その理由は明らかではありませんが、番付への不満や頭髪の衰えの懸念など説もあります。しかし、彼自身は「今が華」とし、衰えを感じさせない美しい引き際を貫いたことが強調されています。この決断は、当時の相撲界に大きな波紋を呼びました。

引退後の活動

引退後、栃木山は春日野部屋を創立し、力士の育成に力を注ぎました。彼の部屋からは栃錦を横綱へと昇進させるなど、名門を築きました。また、1952年には還暦土俵入りを披露し、伝説としてその名を刻みました。晩年も力士たちを指導し続け、相撲界における彼の影響力は衰えることがありませんでした。

最期の時と遺産

栃木山守也は1959年に67歳で亡くなりました。没後には、初の勲四等瑞宝章を贈られ、その功績を称えられました。彼の名跡である春日野部屋は、栃錦清隆によって継承され、今もなお相撲の伝統を守り続けています。

栃木山は相撲界に多くの足跡を残し、斬新な取り口とともに「近代相撲の開祖」とも言われる存在です。彼の生涯は、力士にとっての理想的な生き様を体現しており、相撲ファンのみならず多くの人々に影響を与え続けています。

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