押し倒し

押し倒しは、相撲における基本的な決まり手の一つであり、相手の胸や喉、腋といった箇所を力強く押すことで、相手の体勢を崩し、後ろ向きに倒す技です。この技は、相手を土俵上や土俵の外に倒すことを目的とします。

押し倒しと似た技に「突き倒し」がありますが、これは突っ張りの勢いで相手を土俵の外に出す技であり、押し倒しとは区別されます。しかし、実際には両者の区別が難しい場合も多く、突っ張って土俵の外に出した場合でも、押し倒しとして記録されることがあります。

押し倒しで特に有名な一番として、1991年7月場所の初日に、当時前頭筆頭だった曙が横綱・大乃国を破った一番が挙げられます。この時、曙は立合いの一撃で大乃国を押し倒し、勝利を収めました。この一番の後、大乃国は同場所の8日目をもって引退しました。また、2004年5月場所6日目には、北勝力が当時35連勝中だった横綱・朝青龍を押し倒しで破り、朝青龍の連勝をストップさせた一番もよく知られています。

押し倒しを巡っては、物議を醸した一番も存在します。2009年5月場所千秋楽に行われた千代大海と把瑠都の一番がその例です。当時、千代大海は12日目を終えて5勝7敗と負け越しており、さらに左足太もも肉離れという絶望的な状況に追い込まれていました。しかし、その後、大関・琴光喜と魁皇、関脇・把瑠都を破り、3連勝で8勝7敗と勝ち越しを決め、13度目の角番を脱出しました。しかし、この勝ち越しを決めた一番で、把瑠都が千代大海に軽くいなされたにもかかわらず、自ら左手から旋回して飛び上がり、土俵下に落ちるという不可解な動きを見せたため、両者ともに無気力相撲と認定されるという事態となりました。

押し倒しは、力士の力強さだけでなく、タイミングや駆け引きも重要な要素となる技です。そのため、数々の名勝負やドラマを生み出してきました。今後も、押し倒しが決まる一番から目が離せません。

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