押使

押使（おうし/すべつかい）について

押使という役職は、遣唐使の際に特に大規模な使節団が派遣される場合に設けられるものであり、通常の大使の上に君臨し、使節団全体の指揮を行う重要な役割を果たしました。ここでの「押」は「惣（す）べる」という意味を持ち、使節団を統括するという機能を持っています。

押使の歴史的背景

押使という役職は、日本の古代史において特に重要な役割を果たしました。『日本書紀』に記載されているように、押使が登場するのは，遣唐使の制度が確立されて以降のことであり、大使に対してさらなる権限を持つ存在として位置付けられていました。例えば、645年の遣唐使に際し、河辺麻呂が大使として派遣された際に、玄理が押使としてその役割を担っていたことが文献に残されています。

この時期、玄理は過去に推古天皇の時代に遣隋使の留学生として大陸に渡った経験を持ち、その後の新羅との交渉でも成功を収めていたため、押使としての任命はその実績に基づくものと考えられます。彼は唐に滞在中に亡くなったため、彼の業績は特に記録されています。

次に、716年には元正天皇時代において、再び押使が登場しました。この時、県守がその役割を担っていました。彼は八色の姓の最高位に位置する真人姓を持ち、宣化天皇の血を引いているという背景があります。また、この時の遣唐副使は藤原宇合として記されています。

押使と関連する他の役職

押使は日本の遣唐使における特異な役職でしたが、同様の英名の役職は中国の契丹に存在しました。『新唐書』の記録によると、契丹には「押蕃落使」や「押奚契丹使」といったタイトルの官職が存在し、異なる文化においても類似の役割が求められていたことが伺えます。

押使の位置づけと影響

このように、押使という役職はただの名目ではなく、実際に使節団全体を指揮し、外交活動の重要な一翼を担っていました。また、推古天皇や元正天皇の時代に見られるように、それぞれの時代の皇室との結びつきと政治的背景が、押使という役職に対する影響を与えてきたことも無視できません。

押使の存在は、当時の日本が外部の大陸との関係を深めようとした努力を物語っています。遣唐使が日本の文化や制度、技術の導入に大きな影響を与えたことは言うまでもなく、その中で押使という役職が果たした役割は、歴史の中で重要な一面を成しています。

結論

押使は、遣唐使制度の中でも特に重要な役職であり、その意義は大使との関係性や当時の政治的背景と密接に結びついています。彼らの外交活動は、今なお日本の歴史において重要な位置を占めています。

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