指令電話

指令電話とは

指令電話は、特定の組織や機関において、指令室から各拠点へ指令を伝達するための専用電話網です。狭義には、中央指令所から関係機関への指令通信に特化した電話機と回線を用いたシステムを指します。このシステムは、一般の業務用内線電話とは独立したネットワーク構成を持つことが特徴です。

独立網の例

指令電話は、その重要性から、以下のような独立したネットワークとして構築されています。

軍事：司令部と各部隊間での指令伝達。
警察電話：警察本部通信指令室と警察署、交番、パトカーなどの現場機関との連携。
消防電話：消防本部通信指令室と消防署、分署、消防団など関係各所との通信。
鉄道電話：運転指令所と各関係機関間の情報共有。
電力保安通信線：給電指令所と発電所、変電所、大口需要家間の連絡。
放送事業者：放送センターの主調整室と地域の放送局、キー局とネットワーク傘下の地方局間の情報伝達。ただし、民放では一般の公衆交換電話網を利用することが多い。

信頼性がそれほど重要ではない場合には、一般の業務用内線電話と統合したり、IPセントレックス化されているケースもあります。

必要な機能

指令電話システムには、次のような機能が求められます。

一斉同報通信：電話機のスピーカーから複数箇所へ同時に情報を伝達する機能。
個別・グループ呼び出し：指令所の親機から特定の電話機やグループを呼び出す機能。
緊急通報割り込み：通話中に緊急の連絡が入った際に、その通話を中断して割り込む機能。

呼出信号方式

指令電話の呼出信号方式には、主に以下のものがあります。

一斉同報通信：音声による一斉呼出しは、ほぼ全てのシステムで利用可能です。
個別・グループ呼出信号方式：DTMF、ダイヤルパルス、特定の音声周波数内信号など、様々な方式があり、信号方式によって使用する電話機が異なります。

回線方式

指令電話の回線方式は、複数の電話機を1組の2線式または4線式の通信線路に並列接続する共同電話方式が一般的です。これにより、30～90台程度の端末を接続することが可能です。電源は、6Vの直流電源を各電話機に供給する磁石式と同じ方式が広く採用されています。

鉄道線路では、メタル通信線路が沿線に敷設されており、一定間隔で固定型の沿線電話機が設置されています。それ以外の場所では、接続端子（TBT）が設置されており、可搬型の磁石式電話機を用いて任意の地点間で通信を確保することができます。

関連項目

内線電話
* 直収電話

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