指田吾一

指田吾一（さしだ ごいち）は、1909年（明治42年）に生まれ、1969年（昭和44年）3月24日に亡くなった日本の医師であり、政治家です。東京都田無市（現在の西東京市）の市長を2期務めました。

生涯

指田吾一は日本医科大学を卒業後、軍医として第二次世界大戦中に活動しました。1945年には広島で原子爆弾の被爆を経験しています。この時の体験を詳細に記録した『原爆日記』は、後に出版され、被爆の実態を伝える貴重な資料となりました。

戦後、指田吾一は東京都北多摩郡田無町で開業医として地域医療に貢献しました。その後、1962年に田無町長に就任し、政治家としての道を歩み始めます。当時、田無町は東京のベッドタウンとして人口が急増しており、指田町長は都市化に伴う様々な問題に直面しました。

指田町長の2期目にあたる1967年には、田無町は市制を施行し、田無市となりました。市長として指田吾一は、教育施設の整備を推進する一方で、急増する人口に伴い深刻化していたゴミや屎尿処理問題に取り組みました。特に、屎尿処理場の建設は喫緊の課題であり、市内に処理場を建設することを決定しました。しかし、処理場予定地周辺の住民からは強い反対運動が起こりました。指田市長は、粘り強い説得を重ね、住民の理解を得る努力を続けました。その結果、最終的には屎尿処理場の建設を実現することができました。この一件は、指田市長のリーダーシップと問題解決能力を示す出来事として知られています。

指田吾一は、市長在任中の1969年に脳出血のため急逝しました。その生涯は、医師としての地域医療への貢献、被爆者としての証言活動、そして政治家としての都市問題への取り組みという多岐にわたるものでした。田無市の発展に大きく貢献した人物として、その名は今も語り継がれています。

参考文献

歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第1巻、歴代知事編纂会、1983年。
『全国歴代知事・市長総覧』日外アソシエーツ、2022年。

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