振動計

振動計とは

振動計（vibrometer）は、物体や構造物の振動を測定する装置の総称です。振動の周波数と振幅を数値化することで、振動の特性を把握し、様々な分野で活用されています。

振動計の概要

振動計は、振動の大きさ（振幅）と速さ（周波数）を測定します。これらの情報は、機械や構造物の状態を評価したり、振動による影響を解析したりするために重要です。振動計には様々な種類があり、測定対象や目的に応じて適切なものが選択されます。

振動計の種類

振動計は、その測定原理によっていくつかの種類に分類されます。

機械式振動計

機械式振動計は、内部にバネや蛇腹、シリンダーなどの機械的な要素を持ち、振動をこれらの要素の動きに変換して測定します。比較的シンプルな構造で、電源が不要なものもあります。

電磁式振動計

電磁式振動計は、ピックアップコイルを利用して振動を電気信号に変換して測定します。電気的に増幅できるため、高感度な測定が可能です。

圧電式振動計

圧電式振動計は、圧電素子を用いて振動を電気信号に変換して測定します。電磁式と同様に電気的に増幅できるため、高感度な測定に適しています。

光学式振動計

光学式振動計は、レーザーなどの光を用いて振動を非接触で測定します。光電変換素子で電気信号に変換後、増幅することで高感度な測定が可能です。測定対象にプローブを設置する必要がないため、微小な物体や高温の物体、液面など、プローブの設置が困難な対象の測定に有効です。

光学式振動計の測定原理は複数存在します。例えば、三角測量の原理で光位置センサーを利用する方式や、干渉計の原理で位相のずれによって生じる濃淡を光センサーで検出する方式（光ヘテロダイン式）などがあります。

電磁波式振動計

電磁波式振動計は、マイクロ波ドップラーレーダーを利用して相対的な変位を測定します。光波よりも波長が長いため、分解能は光学式振動計に劣りますが、計測だけでなく、災害時の人命救助や高齢者の介護、防犯など幅広い用途に利用されています。

代表的なメーカー

振動計を製造している主なメーカーとしては、以下の企業が挙げられます。

リオン
IMV
小野測器
昭和測器
エミック
キーエンス
ポリテック

振動計に関連する項目

加速度計: 加速度を測定する装置です。振動計と組み合わせて使用することで、より詳細な振動解析が可能になります。
地震計: 地震波を記録する装置です。地震による振動を測定する点で、振動計と関連があります。

文献

松島晧三、「長周期サーボ振動計」 『計測と制御』 1967年 6巻 5号 p.308-319, doi:10.11499/sicejl1962.6.308
浅川賢一, 田幸敏治, 平田照二、「レーザー干渉計による地面振動の測定」 『応用物理』 1979年 48巻 6号 p.519-525, doi:10.11470/oubutsu1932.48.519
野田満靖, et al. "レーザー変位計を用いた小口径配管の振動応力計測方法の開発─ 誤差の検討と板梁を用いた振動試験による適用性の検討─." INSS journal 14 (2007): 126-135.
* 宮下剛, 藤野陽三、「レーザードップラー速度計を用いた三次元多点振動計測システムの開発」 『土木学会論文集Ａ』 2007年 63巻 4号 p.561-575, doi:10.2208/jsceja.63.561

振動計は、機械や構造物の振動を測定する上で不可欠なツールです。適切な振動計を選択し、正しく使用することで、振動による問題を未然に防ぎ、より安全で快適な環境を構築することができます。

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