挾間町

由布市挾間町：大分市のベッドタウンとして発展した歴史と文化

大分県由布市挾間町は、かつて大分県の中部に位置し、大分郡に属していた町です。大分市と別府市という県内2大都市に挟まれた、海抜200～300mの丘陵地帯を中心に広がる地域でした。町の名前の「挾」は、一般的な「挟」や「狭」とは異なる旧字体を使用しており、「はさままち」と読みます。

挾間町の歴史は古く、1954年10月1日に挾間村、谷村、由布川村、石城川村の4村が合併して挾間村が誕生しました。その後、1955年4月1日に町制施行により挾間町となりました。

大きな転換期となったのは1978年。国立大分医科大学（現・大分大学医学部）が開校したことで、過疎化に歯止めがかかり、大分市のベッドタウンとして発展を始めます。県内でも珍しい人口増加を続ける自治体となり、活気ある町として成長を遂げました。

しかし、2005年10月1日、挾間町は庄内町、湯布院町と合併し、由布市の一部となりました。これにより、長きに渡り続いた挾間町の歴史は幕を閉じました。

地理と自然

挾間町は、大分川、由布川、石城川といった河川が流れ、豊かな自然に恵まれていました。町の中心部は東部に位置し、標高が比較的低い地形です。丘陵地帯が広がり、美しい景観を形成していました。由布川峡谷など、自然豊かなスポットも存在し、地域住民の憩いの場となっていました。

歴史と文化

挾間町には、歴史的建造物や文化遺産も数多く存在していました。挾間（狭間　ハサマ）氏の五輪塔墓地群は県指定の重要文化財として、地域の貴重な歴史を物語っています。また、龍祥寺などの寺院も、古くからの信仰の中心地として人々の生活に深く関わってきました。

町の伝統行事として、挾間花火大会や「きちょくれまつり」といったイベントが開催され、地域住民の交流を深める場として親しまれていました。

教育と交通

教育面では、大分大学挾間キャンパス（医学部）があり、高等教育機関として重要な役割を担っていました。また、挾間町立挾間中学校をはじめ、複数の小学校が設置され、地域住民の子どもたちの教育を支えていました。

交通アクセスは、九州旅客鉄道久大本線（向之原駅～鬼瀬駅）が通っており、鉄道による移動が可能でした。道路網も整備され、国道210号や大分県道51号別府挾間線などが主要な道路として機能していました。大分自動車道も町内を通っていましたが、インターチェンジなどの施設は設置されていませんでした。

行政

挾間町の首長は、村長、のちに町長が務めました。1954年から1958年にかけては平野八郎氏が村長、町長として町政を担っていました。また、宮城県登米郡迫町（現・登米市）と1990年10月27日に友好姉妹都市提携を締結するなど、他地域との交流にも力を入れていました。

名所旧跡

挾間町には、歴史と文化を感じさせる名所旧跡が点在していました。「陣屋の村」や挾間温泉といった観光スポットは、多くの人々を魅了しました。大将軍公園は地域住民の憩いの場であり、自然と歴史が調和した空間を提供していました。


挾間町の消滅は、自治体合併という時代の流れによるものでしたが、その歴史と文化、そして人々の生活は、由布市の一部として、これからも受け継がれていくことでしょう。

もう一度検索