排気温度計

排気温度計と排気温度警告灯：エンジンの健康状態を知るための重要な指標

排気温度計は、内燃機関、特に自動車やオートバイの排気ガスの温度を測定する計器です。摂氏で表示され、排ガス浄化システムの効率や燃焼状態、そしてエンジンの健康状態を把握する上で重要な役割を果たします。排気ガス温度の急上昇は、深刻な問題の兆候であり、放置すると触媒の損傷、エンジンブロー、最悪の場合車両火災につながる可能性があります。

排気温度計の役割と歴史

排気温度計は、空燃比の変化を検知する指標としても活用されます。空燃比が薄くなると、排気ガス温度が上昇します。これは、燃調セッティングの不備、点火プラグの不具合、燃料系統や点火系統の異常などが原因として考えられます。

航空機では第二次世界大戦当時から広く用いられてきた排気温度計ですが、市販自動車への搭載は1970年代後半の燃料噴射装置の登場とともに一般的になりました。現在では、マフラーや触媒に設置されたセンサーが排気温度を検知し、電気信号をメーターに送る方式が主流です。しかし、純正で排気温度計を搭載している車両は少なく、多くの車は排気温度警告灯で代用されています。

純正採用が少ない理由

市販車において排気温度計が純正で採用されない主な理由は、排気温度そのものよりも、「三元触媒を損傷させる異常高温かどうか」が重要視されるためです。正確な数値表示よりも、異常高温を知らせる警告灯で十分と判断されているケースが多いのです。そのため、多くの車種では排気温度警告灯のみが装備されています。後付けメーターとして排気温度計を取り付けるケースも多く、特にターボチャージャー付き車両で燃調データの調整に利用されることが多いです。

モータースポーツにおける重要性

モータースポーツにおいては、排気温度の変化はエンジンの出力や状態を反映する重要な指標となります。改造車では、燃調や過給圧の変更によって排気温度が大きく変化する可能性があるため、排気温度計は必須の装備となっています。

排気温度警告灯：異常高温を知らせる警報装置

排気温度警告灯は、ダッシュボードに設置され、排気温度センサーが異常高温を検知すると点灯する警告灯です。かつては、保安基準で温度センサー、遮熱板、警告装置の設置が義務付けられていましたが、平成7年の保安基準改正で、エンジンの制御機構による異常防止や無接点式点火装置の採用を条件に義務付けが廃止されました。現在では、ディーゼルエンジン車など、一部の車種にのみ見られるようになっています。

排気温度警告灯の動作方式と対処法

排気温度警告灯には、熱電対やサーミスタ、温度ヒューズを用いたものがあります。熱電対やサーミスタ方式は、一定温度以上になると点灯し、温度が下がると消灯します。一方、温度ヒューズ方式は、一定温度以上になるとヒューズが溶断し、回路が遮断されて点灯します。一度点灯すると、冷却されても消灯しません。

警告灯が点灯したら、直ちに安全な場所に停車し、ディーラーや整備工場で点検を受けることが重要です。対処法は、サンバイザーなどに貼付されたラベルに記載されています。温度ヒューズ方式の場合、溶断したセンサーの交換が必要になります。応急処置としてアーシングを行う場合もありますが、これは危険を伴うため、十分な理解とリスク認識が必要です。

まとめ

排気温度計と排気温度警告灯は、エンジンの状態を把握し、トラブルを未然に防ぐ上で重要な役割を果たします。特に、異常高温は重大な損傷につながるため、警告灯の点灯は放置せず、速やかに適切な対処を行う必要があります。これらの計器を通じて、安全で快適なドライビングを心がけましょう。

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