採訪処置使

採訪処置使（さいほうしょちし）

採訪処置使は、中国の唐代に設置された官職で、地方の行政を監察する役割を持っていました。この職位は主に地方に常駐し、その管轄地域の行政府や州の運営が適切に行われているかを確認する重要な役割を果たしていました。一般的には「採訪使」とも略称されることがあります。

概要

この官職は、唐の開元20年（732年）に新しく設置されました。それまでの唐代の地方行政は10道に区分されていましたが、この年に15道に再編成され、それぞれの道に採訪処置使が付与されたことで、より詳細な監察体制が整いました。この時期、前述の通り、10道に分割されていた時期には「巡察使」が設けられていましたが、それに代わる役職が採訪処置使だったのです。

職務の内容は、漢代の州刺史に似たものであり、京畿道には特に重要な地位を持つ「京畿道採訪使」が存在しました。この職位は、漢の時代における司隷校尉に相当します。

職掌の変遷

採訪処置使の治所は、管轄する州の中で最も重要な州に置かれ、その後時間の経過と共に民政における役割に重点が移行していきました。唐代の中でも特に粛宗期以降は、採訪処置使の名称が「観察使」に変更されていきました。また、この期間において唐の国土はさらに拡大し、約40余りの道に分けられたため、広大な地域を担当する道では10州以上、逆に狭い地域では2・3州を管轄することもありました。

さらに、観察使よりも上位の役職として「節度使」という文官及び武官が並立しました。ただし、本来、節度使は武官であったため、文官としての職務を兼任する形で観察使の役割を果たすことが求められました。このような役割分担が行われることで、唐代の地方行政における複雑な組織構造が形成されていきました。

結論

採訪処置使は、唐代の地方行政の管理・監察において重要な役割を果たした職位です。その後の名称の変更や役割の進化は、時代の変化に応じたものであり、地方行政の整備と運営に大きく寄与しました。採訪処置使から観察使へと変遷を経た背景には、唐代の国家体制や地方行政へのさらなる強化の意図があったといえるでしょう。

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