掣圏真陰流

掣圏真陰流（せいけんしんかげりゅう）とは

掣圏真陰流は、プロレスラー初代タイガーマスクこと佐山聡が創始した日本の武道です。1999年5月に「市街地型実戦格闘技」というコンセプトで設立され、当初は「掣圏道」と名乗っていました。

概要

掣圏真陰流は、複数相手との戦闘を想定した身辺警護を基本理念としています。路上での襲撃を想定し、相手が複数である場合や刃物などの武器を持っている可能性も考慮しています。そのため、寝技は不利とみなし、立技打撃を主体としています。コンクリートやアスファルト上での戦いを想定しているため、地面に叩きつけられたり、寝技に持ち込まれたりすると不利になるという考え方です。

佐山は1998年に「アルファ＆オメガ」という二つのルールを考案し、実験的な大会も開催しました。アルファはスタンドでの打撃から投げ、抑え込みまでを認めるルールで、オメガはスタンドからのグラップリングでした。このアルファが、後に掣圏道の原型となりました。

佐山は、単に技術を磨いて強くなるだけでなく、礼儀・礼節を重んじる精神修養の場としての武道を志しました。2004年12月には、古武道経験者からの指摘で、その格闘理論が新陰流兵法の理論と共通する点があることがわかり、「掣圏真陰流」と改称しました。同時に、袴を穿いて日本刀を使う居合も取り入れるようになり、「市街地実戦型」から「日本古来の武士道の復活」へと大きく方向転換しました。

歴史

2003年までは、「掣圏道」として、市街地実戦を想定したスタイルで試合が行われていましたが、スポンサーの撤退により、アルティメットボクシングの試合は廃止されました。その後、「掣圏真陰流」と改称し、袴と日本刀を取り入れました。リアルジャパンプロレスの興行を中心に活動するようになり、プロレスラーを育成する一方で、掣圏真陰流の試合も行っていましたが、後に試合は廃止となりました。

掣圏真陰流から生まれた格闘家は桜木裕司と瓜田幸造の2名のみです。2010年には「武道 掣圏」という興行も行われましたが、短期間で消滅しました。2015年に佐山がプロレスの試合で負傷し、体調が悪化したことで、掣圏真陰流の運営は事実上停止しました。2020年には、佐山が運営していた「掣圏真陰流」は解散しました。

戦歴

掣圏道は1999年7月10日に旗揚げし、佐山聡が勝利を飾りました。同年10月には有明コロシアムで大会を開催し、SAボクシングの世界王者が認定されました。2000年には、初代タイガーマスクが異種格闘技戦でプロレスラー藤原喜明と対戦し敗れています。2000年から2003年にかけて、アルティメットボクシングの大会を多数開催し、主にロシア人選手を招聘していました。2001年には、神取忍が異種格闘技戦で勝利しました。2003年には「掣圏武芸トーナメント」が開催され、桜木裕司が優勝しました。2005年以降は「掣圏真陰流トーナメント」が開催されています。2010年以降は、「武道 掣圏」の大会が開催されました。

道場

当初、掣圏会館の本部道場はガス会社の一室にありましたが、2006年に文京区本郷に「興義館」として移転しました。興義館では、「掣圏道クラス」「武士道空手クラス」「士禅クラス」「ヒプノセラピークラス」の4つのクラスに分かれていました。2008年には道場の一部を茶室に改造してしまいました。昭島道場は支部道場となり、群馬県や千葉県にも支部道場がありました。2011年には神楽坂にも道場が開設されましたが、2014年に閉館しました。

佐山聡が直接指導する一般向けのメイン道場は「掣圏会館本部道場」→「興義館」→「新生武士道 掣圏真陰流 神楽坂スタジオ」と変遷しました。

名称

2004年12月に「掣圏道」から「掣圏真陰流」に名称が変更されました。佐山は、名称や意味合いを頻繁に変更する傾向があり、この点については曖昧な部分も残っています。

服装

試合用の道着は、当初スーツを模した特殊なものでしたが、2007年からは合気道のような道着と袴に変更されました。「武道 掣圏」では上半身裸と袴でした。道場での練習は空手着で行われていました。神楽坂道場では、居合術の稽古のために袴も着用していました。

挨拶

挨拶や返事は空手と同じく「押忍」でした。挨拶の動作は、手のひらを自分側に向けて脇を絞めた特殊な敬礼でした。

精神

佐山は、武士道の精神を重視し、礼儀や礼節を重んじることを求めていました。単に強くなるだけでなく、人格形成を伴った精神修養を重視していました。

その他

初期には、プロレスファンが多く入門し、道場に入りきれないほどでした。そのため、実力のある者が新人をスパーリングで圧倒し、辞めさせるという厳しい選別が行われました。また、掣圏会館時代には「右翼」「極右」と言われることもありましたが、興義館になってからはそのような言及は少なくなりました。興義館では自己催眠術や催眠セラピーも行われていました。神楽坂道場では、武士道オタクが多く集まりました。

掣圏会

昭島道場は、2014年頃に「掣圏会」として独立しました。空手着や段級位制を廃止し、通常の総合格闘技と同じ練習着となりました。「掣圏会」では、試合を主な目的とし、選手養成に特化しています。練習内容はキックボクシングが中心で、グラップリングやMMA、ボクシングも行います。独自のルールを採用した自主興行も開催しています。

段級位制

掣圏会館時代から興義館アマチュア時代にかけて、段級位制が存在しました。白帯から始まり、黄帯、青帯、茶帯、紫帯と続き、黒帯が指導員、赤帯が最高位でした。ただし、帯の色はあくまで基準であり、下の帯の者が強い場合もありました。

技

当身技

基本的な動きはキックボクシングで、ボクシング、空手、テコンドーの技も使用可能です。倒れた相手へのパンチも可能です。練習はミット打ちやスパーリングが中心です。

投げ技

レスリング系、柔道系の投げ技が使用できますが、胴着を掴むことは禁止されています。

組み技

レスリングや柔道の技術で投げたり、ニープレスで抑え込んだりします。掣圏道のコンセプトでは、基本的に寝技は行いません。

競技形式

SAボクシング（現在は廃止）、SAプロレス、ロシアンアブソリュート、武道 掣圏、アルティメットストライカーα、アルティメットストライカーβ、アルティメットストライカーProなどがあります。

脚注

関連項目

ストロングスタイルプロレス
スーパータイガージム

外部リンク

掣圏真陰流公式サイト seikenshinkageryu.official.jp
佐山サトルオフィシャルサイト 掣圏真陰流 bushido.jp
* スーパータイガージム 田中塾 - ウェイバックマシン（2007年5月15日アーカイブ分）

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