接吻 (ロダン)

接吻（せっぷん）

オーギュスト・ロダンによる彫刻「接吻」は、彼の代表作の一つであり、フランス語では『Le baiser』として知られています。この作品は、ダンテの『神曲』に登場する悲恋の物語、パオロとフランチェスカを題材にしています。初め、この彫刻は「地獄の門」のレリーフの一部として構想されていましたが、テーマにそぐわないと判断され独立した作品として発表されました。

1887年にパリとブリュッセルで公開された「接吻」は、衣服を身につけない裸体の男女が抱き合う姿であり、そのために批評家たちによってこのタイトルが付けられました。この銅像の高さは74センチメートルで、1893年にシカゴ万国博覧会に出展されましたが、公共の場で展示するには不適切とされ、特別に申請した者だけが別室で鑑賞できました。

ロダンは作品を制作する際、まず小型のモデルを別の素材で弟子に作らせ、その後自身が大理石での仕上げを行いました。「接吻」においても、石膏、テラコッタ、青銅からそれぞれ小さなサイズのモデルが作られました。1888年には、フランス政府から大理石の大きな作品の制作依頼を受けましたが、作業は中断され、初めて大理石像が公開されたのは1898年のサロン・ド・[[パリ]]でした。この大理石像は高さ183.6センチメートル、幅110.5センチメートル、奥行118.3センチメートルの大きさで、人々から高く評価されました。

1900年、アメリカの美術コレクター、エドワード・ウォレンからも大理石像の依頼がありました。ウォレンは1914年にこの作品をルーイス町の議会ホールに貸与しましたが、エロティックすぎると批判され、結局1917年に再び彼の手元に戻されました。1955年にはオークションに出されたものの売却されず、テート・ギャラリーが買い取ったことで現在は同館のコレクションに所蔵されています。

また、同じく1900年にデンマークのビール会社カールスバーグ創業者の息子、カール・ヤコブセンからも大理石像の依頼があり、1903年に制作されたそのレプリカは、ニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館に収蔵されていることでも知られています。

このように、ロダンの「接吻」はただの彫刻を超え、愛の象徴として多くの人々に感動を与え続けています。その姿勢と技術は、今なお現代アートに影響を与える存在感を持っています。

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