摩周湖

摩周湖の概要

摩周湖（ましゅうこ）は、北海道川上郡弟子屈町にある美しいカルデラ湖で、日本国内で最も透明度が高く、世界ではバイカル湖に次ぐ透明度を誇ります。2001年に北海道遺産に選定され、その美しさと特異な生態系は多くの注目を集めています。特に晴れた日の湖面は「摩周ブルー」と呼ばれる独特の青色が見られます。

地理

この湖は北海道東部の阿寒摩周国立公園内に位置し、日本の湖の中では20番目の面積を持っています。約7000年前の大噴火によって生まれたカルデラ湖で、アイヌ語では「キンタン・カムイ・トー」（山の神の湖）と呼ばれています。摩周湖の名の由来については幾つかの説があるものの、特定の由来は不明です。

湖の中央にはカムイシュ島と呼ばれる小島があり、周囲は600メートル前後の急なカルデラ壁に囲まれています。また、南東には摩周岳（標高857メートル）がそびえています。湖の生態系は非常に特殊で、開発行為や乗り物の侵入が厳しく制限されています。

摩周湖は流入・流出する河川がなく、周辺の降雨が土壌を通じて湖に到達します。そのため、有機物の混入が少なく、水質が非常に良好です。その特徴により、この湖は大気環境のモニタリングの対象にもなっています。

法的な位置づけ

河川法に基づいて国土交通大臣の管理下にはないため、摩周湖は特別な法的位置づけにあります。浮かぶ島には樹木が生えているため農林水産省の管轄下に置かれていますが、湖自体には樹木が存在せず、そのために農林水産省の管理対象ではありません。1947年までは宮内省のスタイルで運営されていましたが、後に国は湖の管理を引き受けることになりました。湖の生態系を守るためには、採取許可が必要であり、立ち入りも厳しく制限されています。

生態系

摩周湖には元々魚類は生息していなかったものの、1926年からニジマスやヒメマスなどが放流され、これらの魚が生息するようになりました。つい最近では、特定外来種となっているウチダザリガニも放流され、湖内の生態系に影響を与えています。魚類の放流により、湖内のミジンコが劇的に減少し、植物プランクトンが増加して水質への影響が心配されています。

透明度について

摩周湖は1930年の調査で、驚異の透明度41.6メートルを記録し、その後も世界最高水準を維持していましたが、1950年代以降、その透明度は徐々に低下しています。この透明度の低下については多くの仮説が存在するものの、正確な原因は依然として不明です。

カムイシュ島

湖の中央には一つの小島、カムイシュ島があり、厚さ5センチメートルから10センチメートルの腐葉土が見られます。この島の名前は、アイヌ文化に由来するもので、神聖な存在を象徴しています。

霧の摩周湖

摩周湖は、その名を冠した著名な歌「霧の摩周湖」にも登場します。この歌がヒットすることで、湖の名前が全国に知れ渡りました。霧が峡谷を包み込み、神秘的な雰囲気を演出しています。

展望台

湖の観光には複数の展望台からの眺めが楽しめます。第一展望台は大型バスも入ることができ、観光名所として多くの人が訪れます。第三展望台や裏摩周展望台もそれぞれのアクセス方法が異なり、訪問者に独自の美しい景観を提供しています。

摩周湖は、自然の神秘を体験できる特別な場所であり、その美しさと環境保全の重要性を今後も広めていくことが求められています。

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