摩訶止観

摩訶止観について

摩訶止観（まかしかん）は、仏教における重要な論書であり、特に天台宗の教義に関する深い理解を提供します。こちらの文書は、594年に中国・荊州の玉泉寺で天台智顗によって公開された講義をもとに、弟子の章安灌頂がまとめたものであり、全10巻から成っています。これにより、止観（サマタ瞑想とヴィパッサナー瞑想の融合）に関する思想や技法が体系的に把握できるようになっています。

構成と内容

摩訶止観は、天台止観の一部を構成するもので、特に円頓止観に焦点を当てています。円頓止観は、瞑想の最も濃密な形式とされ、信者が心を自由にし、真理に至るための道を示しています。文書は以下の10章から成り立っています。

1. 大意（五略）
2. 釈名
3. 体相
4. 摂法
5. 偏円
6. 方便
7. 正修
8. 果報
9. 起教
10. 旨帰

しかし、後半部分の章は講義の締めくくりによって未完成となっています。これがこの作品の特徴となっています。

解説と注釈

摩訶止観に対する理解を深めるための注釈書もいくつか存在します。中でも有名なのは、荊渓湛然による『摩訶止観輔行伝弘決』です。また、天台宗典編纂所が編纂した『摩訶止観伊賀抄』もこの作品の重要な注釈資料とされています。

参考文献

摩訶止観に関する研究や現代語訳も多数行われており、たとえば、関口眞大が監修した『摩訶止観 - 禅の思想原理』や新田雅章の訳本が挙げられます。また、池田魯参による様々な研究書もあり、これらを通じて現代の読者にもその思想が解き明かされています。さらに、菅野博史による現代語訳も出版され、理解が進んでいます。

テキストの版本

『摩訶止観』は数多くの版本が存在します。代表的なものとして、『大正新脩大蔵経』や『昭和新纂國訳大蔵経』、さらに田村徳海の翻訳による『國訳一切経』等があります。これにより、さまざまな時代にわたり、その教えが読み継がれていることが伺えます。

関連項目

また、摩訶止観に関連する著作として、漸次止観を扱った『天台小止観』や特定の教義を簡潔にまとめた円頓章なども存在し、これらは全て天台宗の教えに大きく寄与しています。

このように摩訶止観は、仏教の瞑想技法の理解を深めるための貴重な資源であり、学問的にも実践的にもその意義が高いとされています。

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