播竜山孝晴

播竜山孝晴（ばんりゅうやま たかはる）は、1951年5月4日に兵庫県龍野市（現・たつの市）で生まれ、三保ヶ関部屋に所属した元大相撲力士です。本名は田口孝晴（たぐち たかはる）で、現役時代の体格は178cm、145kgでした。最高位は西小結（1978年11月場所）で、右四つ、突き、押し、寄り、出し投げを得意としていました。

生い立ちと入門

龍野市立神岡中学校在学中から相撲を始め、同中学校の相撲部では主力選手として活躍しました。中学在学中に三保ヶ関親方（元大関・初代増位山）の熱心な勧誘を受け、1966年11月場所に三保ヶ関部屋から初土俵を踏みました。当初の四股名は、故郷の川に因んだ「揖保川」でしたが、後に「播竜山」と改名しました。この四股名は、出身地の旧国名である播磨と龍野市に由来しています。

力士としてのキャリア

幕下までは順調に番付を上げましたが、その後は足踏みが続きました。しかし、真面目な稽古を重ねた結果、1974年7月場所に十両昇進を果たし、1975年3月場所には新入幕となりました。大関・増位山（2代目）や横綱・北の湖、大関・北天佑らと共に三保ヶ関部屋の全盛時代を築き、北の湖の土俵入りでは露払いを務めることもありました。アンコ型の体格から繰り出す突き押しや、右で前廻しを取って出し投げ気味に寄る取り口が特徴でした。

1978年9月場所では、前頭3枚目の地位で千代の富士や旭國を破るなど10勝5敗と大きく勝ち越し、生涯唯一の三賞となる敢闘賞を受賞しました。翌11月場所では小結に昇進しましたが、2勝13敗と惨敗し、三役経験はこの1場所のみとなりました。

1979年7月場所中には、部屋に蔓延した流行性A型肝炎に罹り、途中休場を余儀なくされました。体重は25kgも減少し、黄疸で目が黄色くなるほどの重症でしたが、医師の許可を得て強行出場し、3日目まで相撲を取りました。その後、一時幕下まで番付を落としましたが、1981年1月場所に再入幕を果たしました。しかし、その後は幕内と十両との往復となり、現役晩年は再度幕下まで陥落し、1984年11月場所前に33歳で引退しました。

十両優勝4回は、若の里、小城ノ花、大錦、鳳凰と並んで昭和以降2位タイの記録です。

引退後

引退後は、三保ヶ関部屋で後進の指導にあたりました。三保ヶ関部屋が2013年に閉鎖された後は、春日野部屋に移籍し、部屋付きの親方として指導を続けました。日本相撲協会では長らく木戸委員を務め、チケット担当として国技館の入場券売り場に長くいました。現金での手売りの時代から、カード払いやネット販売への移行を経験し、デジタル化初期には4人用の升席のチケット販売に苦労したというエピソードも残っています。

2016年5月3日に日本相撲協会を停年退職しましたが、同年5月6日付で参与として再雇用され、引き続き木戸委員を務めました。2021年5月3日に嘱託任期満了を迎えました。任期満了の際には、若乃花・貴乃花兄弟による空前の相撲ブーム、いわゆる「若貴ブーム」の際に、15日分のチケットが1日で完売したことを振り返っていました。

主な戦績

通算成績：579勝591敗19休 勝率.495
幕内成績：200勝268敗12休 勝率.427
現役在位：108場所
幕内在位：32場所
三役在位：1場所（小結1場所）
三賞：1回
敢闘賞：1回（1978年9月場所）
十両優勝：4回（1974年11月場所、1975年1月場所、1976年3月場所、1982年11月場所）
幕下優勝：2回（1972年11月場所、1980年5月場所）

改名歴

揖保川（いぼがわ）1967年1月場所-1967年9月場所
播竜山（ばんりゅうやま）1967年11月場所-1984年11月場所

年寄変遷

小野川（おのがわ）1984年11月5日-1987年1月17日
* 待乳山（まつちやま）1987年1月17日-2021年5月3日

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