敦煌 (映画)

映画『敦煌』の概要

『敦煌』（とんこう）は1988年に日本と中国によって製作された合作映画で、井上靖の同名小説を原作としています。この映画は日本アカデミー賞で多くの賞を受賞し、歴史と文化が融合した壮大な物語を描いています。

あらすじ

この物語の背景は北宋時代、主人公の趙行徳は科挙の最終試験を受けるために開封府に向かいますが、出された課題「西夏対策」を理解できずに失敗します。失意の中で行徳が出会った西夏出身の女性によって西夏に興味を持ち、彼は西に旅立ちます。

旅の途中、彼は西夏の漢人傭兵部隊に捕まり、そこに編入されることになります。漢人部隊の指揮官、朱王礼は行徳の才能を評価し、彼を部隊の書記に任命します。しかし、行徳が西夏で目にすることになるのは、単なる辺境ではなく、シルクロードの重要な拠点であり、豊かな仏教文化が花開く砂漠のオアシスでした。

西夏軍がウイグルを攻略する際、行徳はウイグルの王女・ツルピアを救い、その後彼女と恋に落ちます。彼の才能が認められ、行徳は西夏の首都での留学を命じられ、ツルピアの安全を朱王礼に託して旅立ちます。

しかし、留学が長引いた末に戻った時、ツルピアは西夏の皇太子・李元昊の妻にされることが決まっていました。婚礼の席上で、ツルピアは李元昊を暗殺しようと試みるも失敗し、悲劇的に城壁から身を投げます。これに対抗しようとした朱王礼は反乱を起こすものの、壮絶な戦闘の末に戦死してしまいます。

その混乱の中、行徳は敦煌にある文化遺産を守る決意を固めます。彼は貴重な書籍や経典を敦煌郊外の石窟寺院に運び出し、後世の貴重な敦煌文献を残すことに成功します。

キャスト

• - 朱王礼：原作における行徳の上司であり、彼を留学させる。
• - 趙行徳：科挙に失敗し、運命に翻弄される北宋出身の青年。
• - 李元昊：西夏の君主であり、ツルピアを自分の妻にしようとする。
• - ツルピア：ウイグルの王女で、行徳との恋愛を通じて運命に翻弄される。

製作背景

この映画は、1974年に徳間康快が大映を買収し、映画化が決定しました。井上靖の小説を映画化するために様々な困難を経て、日中合作が実現します。プロジェクトは長期にわたり、様々な資金調達やキャストの変更が含まれましたが、最終的には1982年に公開されました。

プロモーションと受賞歴

映画は公開前に618万枚の前売り券が発行され、450万枚が売上を記録しました。また、映画のイメージソングとして中川安奈が歌う『砂漠の海へ』もリリースされています。1989年の日本アカデミー賞では最優秀作品賞や最優秀監督賞をはじめとする複数の賞を受賞しました。

結論

『敦煌』は、文化交流や個人の成長、愛の物語を織り交ぜた作品であり、中国の歴史と文化を深く掘り下げた映画です。

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