敬台院

敬台院（きょうだいいん）は、文禄元年（1592年）に小笠原秀政の長女として誕生しました。母は徳川家康の曾孫にあたる登久姫であり、後に家康の養女となり、万姫または氏姫と名乗りました。別名としてお虎の方とも呼ばれています。

幼少期を伏見城で過ごした後、慶長5年（1600年）に9歳で阿波国徳島藩主・蜂須賀至鎮に嫁ぎました。至鎮との間には、蜂須賀忠英、三保姫（池田忠雄正室）、正徳院（水野成貞正室）という三人の子供をもうけました。

敬台院は、日蓮宗富士派（現在の日蓮正宗）に深く帰依し、熱心な信徒として知られています。彼女の信仰は、数々の寺院建立や支援活動に繋がりました。

具体的には、大石寺御影堂の建立寄進、江戸鳥越・法詔寺の建立、大石寺朱印状下附の実現、総本山二天門の建立など、大石寺の発展に大きく貢献しました。また、日精の公儀年賀における乗輿の免許を得るための活動や、大石寺基金として七百両を寄進するなどの支援も行いました。さらに、「細草檀林」の設立にも尽力するなど、日蓮宗の興隆に多大な貢献をしました。

特に重要なのは、正保2年（1645年）に江戸の法詔寺を阿波に移し、敬台寺を創立したことです。この寺院は彼女の名前を冠しており、その信仰心の深さを今に伝えています。

敬台院は寛文6年1月4日（1666年2月7日）に生涯を閉じ、敬台寺に葬られました。彼女の法名は敬台院殿妙法日詔大姉といい、その功績と信仰心は後世に語り継がれています。

敬台院の生涯は、徳川家康の養女という立場でありながら、日蓮宗の信徒として、寺院建立や基金設立などの支援活動を通じて、宗教の発展に大きく貢献した女性として特筆されます。彼女の行動は、当時の女性としては非常に珍しく、その信仰と行動力は多くの人々に感銘を与えました。

参考文献として、『阿波の女たち』（徳島市立図書館、1987年）があります。この文献からも、敬台院が阿波の歴史において重要な人物であったことが窺えます。

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