数学教育研究会

数学教育研究会

数学教育研究会は、「数教研（すうきょうけん）」の略称で知られ、英語表記では Institute of mathematics education Inc. と称します。東京都新宿区新宿に本部を構え、主に学習塾のフランチャイズ事業を展開している団体です。

沿革

数学教育研究会の歴史は、1969年4月に上村努氏と上村浩郎氏の兄弟によって始まりました。当初は、渋谷区神宮前に人格なき社団「数学教育研究会」として設立され、水道方式に基づくプリント教材を用いた計算塾のフランチャイズ本部として機能していました。初代理事長には上村努氏が就任しています。

その後、1970年4月には渋谷区千駄ヶ谷へ本社を移転。教育内容の転換期は1971年10月に訪れ、水道方式の提唱者として知られる遠山啓氏の助言を受け、計算に特化した塾から数学全般を扱う専門塾への転換を図りました。

1976年1月には中谷太郎氏が会長に就任し、水道方式と量の体系を重視した数学専門塾としての本格的な指導が開始されます。同年6月には、元北海道教育大学学長で北海道大学名誉教授の城戸幡太郎氏と、元お茶の水女子大学学長の波多野完治氏が顧問に就任。さらに翌7月には、東京大学名誉教授の小平邦彦氏も顧問に加わるなど、教育・数学界の著名な学者らが同会の活動を支えました。

1978年10月には、機関紙「ひろば」を創刊。「よりよい数学教育を」をテーマとした対談や、城戸幡太郎氏による創刊を祝う文章などが掲載されました。

事業の拡大として、1985年9月には大英研会長の上村敦氏が執筆した教材を用いた英語科教育を開始し、これに伴い教材委員会が設置されました。続いて1995年4月には国語科教育もスタートし、指導科目を拡充していきます。

本部の移転も複数回行われています。1996年2月に新宿区新宿へ移転した後、1997年4月には元数学教育協議会委員長で明治大学名誉教授の銀林浩氏が顧問に、大東文化大学名誉教授の鈴木康之氏が国語科顧問に就任しています。その後、2011年2月には墨田区千歳へ、そして2015年11月には再び新宿区新宿へと現在地に移転しています。

数教研の教育システムと特徴

数教研の学習指導にはいくつかの独自の特徴があります。

1. 診断に基づいた個別学習開始: 入会時には学力診断テストを実施し、生徒一人ひとりが完全に理解している段階から学習を始めます。これにより、つまずきを解消しながら無理なくステップアップできるよう配慮されています。

2. 独自の自学自習教材: 週2回の通塾を通して、独自のプリント教材を用いた自学自習形式で学習を進めます。教材は中学範囲まで約2,800枚という膨大な量があり、すべての教材を消化するには、1回あたり3～4枚以上のペースで取り組む必要があります。ただし、小学校低学年以下の生徒には原則として宿題は課しません。

3. 幅広い対象学年: 5歳からの幼児から、一部の教室では高校生までの生徒を受け入れています。

4. 科目別指導法: 算数・数学では設立当初からの根幹である水道方式を採用。国語では、外国人が日本語の構造を学ぶ際に用いられる文法解釈の手法を取り入れています。英語については、プリント教材に加え、デジタルオーディオプレーヤーを活用した発音指導も行っています。

非競争主義の理念

数教研の教育方針の大きな柱の一つに「非競争主義」があります。教室では、様々な学年の生徒が同じ空間で学習することが一般的ですが、生徒同士を比較したり、競争を促したりすることは一切行いません。また、生徒がじっくりと考え、学びに向き合う時間を確保するため、学習にかかる時間を計測したり、テストの得点などで生徒間の優劣をつけたりすることも避けています。これにより、それぞれのペースで学習を進められる環境を提供しています。

数学教育研究会は、これらの独自の指導法と教育理念に基づき、長年にわたり学習塾の運営とフランチャイズ展開を行っています。

外部リンク：数学教育研究会公式サイト

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