敷波 (吹雪型駆逐艦)

敷波（しきなみ）

敷波は日本海軍に所属する駆逐艦であり、特型駆逐艦の一隻です。この艦の名前は、激しく寄せ迫る波を表すもので、先代の敷波型駆逐艦が名称を受け継いでいます。敷波は、特II型の2番艦として、12隻目の艦船に位置付けられています。

艦歴

この艦は舞鶴工作部で建造され、一等駆逐艦として分類されました。初期には、「磯波」「浦波」「綾波」と共に第19駆逐隊を編制し、積極的に海軍の任務に当たりました。

日中戦争が勃発すると、1940年（昭和12年）の上海と杭州湾の上陸作戦に参加し、その戦力を証明しました。太平洋戦争においては、南方進攻作戦やミッドウェー海戦、さらにはソロモン諸島やニューギニアでの数々の作戦にも従事しました。特に1942年のバタビア沖海戦では、アメリカの重巡洋艦「ヒューストン」を沈める手助けを果たしました。

1943年6月、マカッサルでの戦闘中、軽巡洋艦「鬼怒」が爆撃を受けて損傷した際には、「球磨」と共に「鬼怒」をスラバヤまで護衛しました。その後の7月22日にはスラバヤでの空襲により、艦の五名が命を落としました。

1944年8月1日、シンガポール沖での座礁事故からは、なんとか離礁に成功しましたが、事故後は応急修理の後にヒ72船団の護衛任務に就くこととなりました。しかし、9月12日には米潜水艦「グロウラー」の雷撃に見舞われ、船団は多大な損害を被ります。護衛司令官の梶岡定道少将が戦死した後、敷波も再度の雷撃を受け、1944年9月12日、海南島の東方洋上で沈没してしまいました。乗員200名以上が戦死し、67名は海防艦「御蔵」に救助されました。

この艦は1944年10月10日に除籍され、その歴史に幕を閉じます。

歴代艦長

艤装員長には藤田類太郎中佐が就任し、艦長としても1929年から1931年までその職にありました。その後、多くの艦長が就任し、艦の運命を共にしました。以下は歴代艦長のリストです。

• - 藤田類太郎中佐：1929年11月1日 - 1931年12月1日
• - 池田久雄中佐：1931年12月1日 - 1932年11月15日
• - 河原金之輔中佐：1932年11月15日 - 1932年12月1日
• - 中原達平中佐：1932年12月1日 - 1933年11月15日
• - 直塚八郎中佐：1933年11月15日 - 1934年1月10日
• - 古木百蔵中佐：1934年1月10日 - 1934年4月28日
• - 伊崎俊二少佐：1934年4月28日 - 1934年11月15日
• - 佐藤康夫少佐：1934年11月15日 - 1936年12月1日
• - 天野重隆中佐：1936年12月1日 - 1937年11月15日
• - 折田常雄少佐：1937年11月15日 - 1938年10月5日
• - 大原利通少佐：1938年10月5日 - 1938年12月15日
• - 山本岩多中佐：1938年12月15日 - 1939年2月2日
• - 仙波繁雄少佐：1939年2月2日 - 1939年6月20日
• - 橋本金松大尉：1939年6月20日 - 1939年7月20日
• - 大河原肇少佐：1939年7月20日 - 1940年1月25日
• - 岩上次一少佐：1940年1月25日 - 1942年4月15日
• - 川橋秋文少佐：1942年4月15日 - 1943年6月20日
• - 道木正三少佐：1943年6月20日 - 1944年4月1日
• - 高橋達彦少佐：1944年4月1日 - 1944年9月12日戦死

参考文献

• - 雑誌「丸」編集部『ハンディ版 日本海軍艦艇写真集16 駆逐艦 吹雪型［特型］』光人社、1997年。
• - 外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年。
• - 海軍歴史保存会編『日本海軍史』第7巻、第一法規出版、1995年。
• - 駒宮真七郎『戦時輸送船団史』出版協同社、1987年。

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