斉昂軽便鉄路

斉昂軽便鉄路について

斉昂軽便鉄路（せいこうけいべんてつろ）は、かつて満州国の竜江省に存在した鉄道路線であり、斉斉哈爾市の斉斉哈爾駅から昂昂渓駅に至るまでを結ぶ任務を担っていました。この鉄道は、外部からの共同出資や借款を一切受けず、完全に純粋な中国資本によって建設されたという点で特異な存在でした。後に満州国鉄に吸収される斉克鉄路と一部重なる営業区間を有しているものの、原則として両者は異なる路線です。

概要

斉昂軽便鉄路は、斉斉哈爾の南部から北西に走り、いくつかの曲がりくねった経路を辿りながら、最終的には昂昂渓駅に至る経路を有しています。この路線は極めてシンプルな形状をしており、特に川に沿った区間では、自然に適応した運行が行われていました。起点の斉斉哈爾駅は、他の路線との接続がなかった単独のターミナル駅であり、他の路線との連携が長らく期待されていませんでした。また、周囲には適切に車輌の整備が行える工場も併設されていました。

路線データ

• - 営業区間：斉斉哈爾から昂昂渓
• - 路線距離：営業キロは25.9km（28.8kmとする説もあり）
• - 軌間：メーターゲージ（1000mm）
• - 駅数：4駅（起終点駅含む）
• - 複線区間：なし（全線単線）
• - 電化区間：なし

実際には、この鉄道区間にも約2kmの支線が存在したと伝えられていますが、その詳細は不明です。

歴史

開通と運営

斉昂軽便鉄路の計画は、東清鉄道が中心部を通れなかったことから、地元の人々が不便さを感じたことに端を発しました。黒竜江省の首長である程徳全が、この問題を解決するために、1906年に軽便鉄道の建設を提案します。彼の計画は、外部の支援を受けずに地元商人から資金を集め、自主的に整備を進めるものでした。この取り組みは、中国における初の全額中国資本による鉄道建設の試みでした。

1909年に部分開業し、その運営は厳しい状況の中でスタートを切りました。特に、路線が低地を走るため、季節ごとに流域の洪水の影響を受け、運行がままならない日々が続きました。しかし、鉄道は地元住民の足として利用され、その重要性を認識されることになります。1928年には、より広範な鉄道網に取り込まれる形で運営の見直しが行われました。

鉄道敷設競争

1920年代末、奉天軍閥が鉄道網の再整備を進めていく中、斉昂軽便鉄路は重要な役割を果たす存在に押し上げられます。ソビエト連邦が同鉄道に経済的支援をすることで、鉄道の改軌計画が持ち上がりましたが、競合他社の反発に直面しました。この時期には、鉄道路線の整備競争が激化し、多くの利権が掛けられる舞台となりました。

終焉

そうした競争の中でも斉昂軽便鉄路は変わらず運行を続けましたが、最終的には顧客を失い、相次ぐ政治的競争によって経営の安定を欠くこととなります。1935年に満州国政府に買収され、数年間は運行されながらも、1936年に正式に運転を終了しました。

最後まで、その独自性を持ち続けながらも、様々な外部要因に影響されながら、地元住民のために活動してきた斉昂軽便鉄路の存在は、満州の歴史の中に重要な一ページとして残っています。

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