斉藤浩二

斉藤浩二

斉藤浩二（さいとう こうじ）は、1947年に北海道胆振管内の安平町（旧早来町）で生を受け、札幌市で育った日本の代表的なランドスケープデザイナーです。北海道の自然や風土に深く根ざした、景観設計の分野で多大な功績を残しています。

大学院では美術学を専攻し、1975年に東京教育大学大学院教育学研究科美術学専攻の修士課程を修了しました。その後、造園関連の施工会社や設計事務所で実務経験を積み、1985年に自身の設計事務所であるキタバ・ランドスケープ・プランニング（現：（株）キタバ・ランドスケープ）を設立しました。現在は同社の代表を務める傍ら、かつては（株）KITABAの代表も歴任しました。

彼のキャリアにおける最も著名なプロジェクトの一つに、札幌市にあるモエレ沼公園のランドスケープデザインがあります。この公園は、彫刻家イサム・ノグチが基本設計を手がけましたが、ノグチの逝去後、斉藤氏がその遺志と構想を引き継ぎ、完成に向けて詳細な設計監理を担当しました。自然とアートが融合したこの公園は、その設計監理が高く評価され、グッドデザイン大賞や土木学会賞など、権威ある賞を受賞しています。

モエレ沼公園以外にも、斉藤氏は北海道を中心に数多くの景観設計に携わっています。長沼町のマオイの丘公園、宮部記念緑地、SEIYOしんえい四季のまち、BeBA TERRACEランドスケープデザインなど、その活動範囲は多岐にわたります。特に、1997年に設計した石山緑地（札幌市）では、日本造園学会賞を受賞しており、そのデザインの質と地域への貢献が高く評価されています。

デザイナーとしての活動に加え、斉藤氏は教育や公共分野でも積極的に貢献しています。東京農業大学の客員教授として後進の指導にあたり、北海道大学工学部の非常勤講師も務めました。また、技術士建設部門（都市及び地方計画）の資格を持ち、北海道景観審議会委員、旧北海道東海大学非常勤講師、北海道美しい景観のくにづくり審議会委員、大雪山国立公園管理計画検討会検討員など、多数の公職を歴任し、北海道の景観行政や自然環境保全に深く関わっています。

さらに、彼は地域の活性化や文化活動にも尽力しており、NPO法人モエレ沼公園の活用を考える会の事務局長、NPO法人アートチャレンジ滝川の副理事長、中札内村景観まちづくりアドバイザーなどを務めてきました。これらの活動を通じて、ランドスケープデザインの可能性を広げ、地域社会に貢献しています。

斉藤浩二氏の仕事は、単なる空間のデザインにとどまらず、芸術、自然、そして人々を結びつける試みであり、北海道を中心に日本のランドスケープデザインの発展に重要な足跡を残しています。彼の作品と活動は、自然と人間活動の調和のあり方を示唆し続けています。

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