新シェケル

イスラエルの通貨：新シェケル（ILS）

イスラエルの公式通貨単位は新シェケル（ヘブライ語: שקל חדש‎、アラビア語: شيكل جديد‎、ISO 4217: ILS、通貨記号:₪）です。パレスチナ自治政府でも広く使用されています。ヘブライ語では「シェケル・ハダシュ」と呼ばれ、略称は「ש״ח」（シャハ）です。通貨記号の₪は、ヘブライ文字のשとחを組み合わせたものです。

新シェケルの歴史：イスラエル・ポンドから現在へ

イスラエルの通貨の歴史は、英国委任統治領時代の「パレスチナ・ポンド」にまで遡ります。この紙幣には、英語、アラビア語、ヘブライ語の3ヶ国語で表記され、ヘブライ語表記では「エレツ・イスラエル」（イスラエルの地）の略称も含まれていました。

1952年から1980年までは「イスラエル・ポンド」が使用されました。しかし、急激なインフレへの対策として、1980年2月、イスラエル・ポンドに代わる通貨として「シェケル」が導入されました。これが「旧シェケル」です。補助通貨として「新アゴラ」が設定されました。当初は1、5、10、50、100シェケルの紙幣が発行されましたが、インフレの加速により、100、500、1,000、5,000、10,000シェケルと高額紙幣が次々と発行される事態となりました。

インフレ抑制のため、1985年9月4日、政府はデノミネーションを実施し、「新シェケル」を導入しました。旧1,000シェケルを1新シェケルとするレートで切り替えられました。補助通貨は「アゴラ」となり、通貨記号も₪に変更されました。

新シェケルの紙幣とデザイン

新シェケルの紙幣は、いくつかのシリーズに分けられます。シリーズA（1985年～1999年）、シリーズB（1999年～2017年）、シリーズC（2014年～）です。シリーズCでは、2014年から順次新しいデザインの紙幣が発行され、2017年に全額面が揃いました。スイスのオレル・フュズリ社で印刷されています。当初は横型デザインでしたが、新札発行時に世界でも珍しい縦型デザインに変更されました。

現在流通している紙幣は、200シェケル、100シェケル、50シェケル、20シェケルの4種類です。それぞれに、イスラエルの歴代大統領や著名人の肖像が描かれています。過去にはアルバート・アインシュタインの肖像が使用された紙幣も存在しました。500シェケル札の発行も計画されています。

新シェケルの概要

新シェケルは、イスラエル経済の歴史を反映した通貨です。インフレ対策としてのデノミネーションや、デザインの変更、そして近年の経済状況を反映した高額紙幣の発行計画など、その歴史は興味深いものです。イスラエルの歴史と文化を肌で感じることができる、ユニークな通貨と言えるでしょう。今後、新たな紙幣のデザインや額面の変更なども見込まれ、その動向に注目が集まります。

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