新モン州党
新モン州党（NMSP）は、ミャンマーの主要な民族系政治組織の一つです。その軍事部門はモン国民解放軍（MNLA）として知られ、1949年以来、名称を変えながらもミャンマー政府に対し武装闘争を展開してきました。
モン族は古くから東南アジアに独自の王国を築いてきましたが、18世紀の再興ペグー王国滅亡やイギリス植民地化、その後のビルマ族への同化政策により、民族文化の喪失危機に直面しました。こうした中で、モン族の民族主義運動が芽生え、1930年代後半には文化組織が設立されました。戦後、政治的要求を掲げる組織が登場し、ビルマ連邦からの独立やモン州設置を求める声が高まります。しかし、1947年のパンロン会議にモン族代表が招かれず、モン州設置が見送られたことで、急進派は武装闘争の道へと進みます。
独立後の1948年にはモン民族防衛機構（MNDO）が設立され、カレン族組織（KNU）と同盟を結びモーラミャインを一時占拠するなど抵抗運動を展開しますが、政府によるモン州設置拒否により交渉は決裂。その後、武装勢力の再編成が進み、1953年にはモンランド暫定政府樹立が宣言されます。1955年にはモン人民戦線（MPF）に再編され、他の少数民族勢力と共に同盟を形成しますが、戦線は膠着状態が続きました。
1958年、政府の恩赦政策に応じず武装闘争継続を選んだMPF幹部のナイ・シュエチンが、ジャングル地帯でNMSPを結成しました。当初は少数での活動でしたが、他組織からの支援を受け、民族民主統一戦線（NDUF）にも参加します。1960年代には政府によるモン州設置の動きも見られましたが、1962年の軍事クーデターにより頓挫。軍事政権への反発から多くの若者がNMSPに加わりました。
ネ・ウィン政権下では経済が停滞し、闇経済が台頭します。NMSPを含む国境地帯の武装勢力は、タイとの密貿易に関与し、通行税を徴収することで組織の主要な資金源としました。これによりミニ国家のような組織運営が可能となり、タイとの間には軍事協力関係も生まれました。1969年には元首相ウー・ヌによる議会制民主主義党（PDP）、KNUと共に民族統一解放戦線（NULF）を結成し、政府軍への攻撃を強化しますが、組織内部の路線の違いから連合は崩壊しました。
1970年代には組織内で派閥対立が激化し、親共産主義派と反共産主義派に分裂、武力衝突も発生しました。分裂状態は1987年に再統合されるまで続きましたが、その後も領土や利権をめぐって長年の同盟関係にあったKNUとの間で激しい衝突が発生し、深い亀裂を残しました。
1988年の民主化運動後、新設された国家秩序回復評議会（SLORC）体制下でNMSPを取り巻く状況は悪化します。CPBの崩壊、タイの政策転換、政府軍の攻勢などにより、他の民族武装勢力と共に苦境に立たされます。こうした状況下、NMSPは1995年、SLORCとの間で停戦合意に署名しました。
1995年の停戦合意によりNMSPは支配地域の一部を失いましたが、武装解除はされず、経済活動にも着手しました。しかし、ビジネス経験不足から大きな成果は得られず、停戦後も政府軍によるインフラ開発に伴う人権侵害が報告され、政府軍の浸透を許す結果となりました。停戦に不満を持つ者たちによる新たな武装組織も現れましたが、大きな脅威とはなりませんでした。当時の指導者ナイ・シュエチンは、停戦の困難さを吐露しています。
民政移管後の2009-2010年に政府から国境警備隊（BGF）への編入が要請されますが、NMSPはこれを拒否し、他の拒否組織と共に統一民族連邦評議会（UNFC）に参加しました。その後、2012年、そして2018年には全国停戦合意（NCA）に署名するなど、再び政府との停戦合意を締結しましたが、地域によってはKNUとの小規模な衝突が続きました。
2021年の軍事クーデター発生後、NMSPは当初対話路線を維持し、一部メンバーは軍事政権側の評議会に参加しました。しかし、この決定は多くの党員の反発を招き、組織からの離脱者が続出しました。特に若者を中心に、モン解放軍（MLA）やモン州防衛隊（MSDF）など、軍事政権への抵抗を掲げる新たな武装組織が多数結成されました。離脱者の一部は新モン州党・反軍事独裁（NMSP-AD）を結成し、他の組織と連携して活動を続けています。モン州内には抵抗を主導する政治組織も複数存在し、複雑な状況を呈しています。2025年にはNMSP-ADを含む複数の抵抗勢力が「ラーマニャ・コラム」として統合される動きも報じられています。
また、NMSPは長年、軍事政権下で弾圧されてきたモン語やモン文化を守るための教育活動にも力を入れてきました。独自の学校システムを構築し、多くのモン民族学校を運営。2022年には高等教育機関としてモン民族大学を開校するなど、民族文化の継承と人材育成に貢献しています。
モン族は古くから東南アジアに独自の王国を築いてきましたが、18世紀の再興ペグー王国滅亡やイギリス植民地化、その後のビルマ族への同化政策により、民族文化の喪失危機に直面しました。こうした中で、モン族の民族主義運動が芽生え、1930年代後半には文化組織が設立されました。戦後、政治的要求を掲げる組織が登場し、ビルマ連邦からの独立やモン州設置を求める声が高まります。しかし、1947年のパンロン会議にモン族代表が招かれず、モン州設置が見送られたことで、急進派は武装闘争の道へと進みます。
独立後の1948年にはモン民族防衛機構（MNDO）が設立され、カレン族組織（KNU）と同盟を結びモーラミャインを一時占拠するなど抵抗運動を展開しますが、政府によるモン州設置拒否により交渉は決裂。その後、武装勢力の再編成が進み、1953年にはモンランド暫定政府樹立が宣言されます。1955年にはモン人民戦線（MPF）に再編され、他の少数民族勢力と共に同盟を形成しますが、戦線は膠着状態が続きました。
1958年、政府の恩赦政策に応じず武装闘争継続を選んだMPF幹部のナイ・シュエチンが、ジャングル地帯でNMSPを結成しました。当初は少数での活動でしたが、他組織からの支援を受け、民族民主統一戦線（NDUF）にも参加します。1960年代には政府によるモン州設置の動きも見られましたが、1962年の軍事クーデターにより頓挫。軍事政権への反発から多くの若者がNMSPに加わりました。
ネ・ウィン政権下では経済が停滞し、闇経済が台頭します。NMSPを含む国境地帯の武装勢力は、タイとの密貿易に関与し、通行税を徴収することで組織の主要な資金源としました。これによりミニ国家のような組織運営が可能となり、タイとの間には軍事協力関係も生まれました。1969年には元首相ウー・ヌによる議会制民主主義党（PDP）、KNUと共に民族統一解放戦線（NULF）を結成し、政府軍への攻撃を強化しますが、組織内部の路線の違いから連合は崩壊しました。
1970年代には組織内で派閥対立が激化し、親共産主義派と反共産主義派に分裂、武力衝突も発生しました。分裂状態は1987年に再統合されるまで続きましたが、その後も領土や利権をめぐって長年の同盟関係にあったKNUとの間で激しい衝突が発生し、深い亀裂を残しました。
1988年の民主化運動後、新設された国家秩序回復評議会（SLORC）体制下でNMSPを取り巻く状況は悪化します。CPBの崩壊、タイの政策転換、政府軍の攻勢などにより、他の民族武装勢力と共に苦境に立たされます。こうした状況下、NMSPは1995年、SLORCとの間で停戦合意に署名しました。
1995年の停戦合意によりNMSPは支配地域の一部を失いましたが、武装解除はされず、経済活動にも着手しました。しかし、ビジネス経験不足から大きな成果は得られず、停戦後も政府軍によるインフラ開発に伴う人権侵害が報告され、政府軍の浸透を許す結果となりました。停戦に不満を持つ者たちによる新たな武装組織も現れましたが、大きな脅威とはなりませんでした。当時の指導者ナイ・シュエチンは、停戦の困難さを吐露しています。
民政移管後の2009-2010年に政府から国境警備隊（BGF）への編入が要請されますが、NMSPはこれを拒否し、他の拒否組織と共に統一民族連邦評議会（UNFC）に参加しました。その後、2012年、そして2018年には全国停戦合意（NCA）に署名するなど、再び政府との停戦合意を締結しましたが、地域によってはKNUとの小規模な衝突が続きました。
2021年の軍事クーデター発生後、NMSPは当初対話路線を維持し、一部メンバーは軍事政権側の評議会に参加しました。しかし、この決定は多くの党員の反発を招き、組織からの離脱者が続出しました。特に若者を中心に、モン解放軍（MLA）やモン州防衛隊（MSDF）など、軍事政権への抵抗を掲げる新たな武装組織が多数結成されました。離脱者の一部は新モン州党・反軍事独裁（NMSP-AD）を結成し、他の組織と連携して活動を続けています。モン州内には抵抗を主導する政治組織も複数存在し、複雑な状況を呈しています。2025年にはNMSP-ADを含む複数の抵抗勢力が「ラーマニャ・コラム」として統合される動きも報じられています。
また、NMSPは長年、軍事政権下で弾圧されてきたモン語やモン文化を守るための教育活動にも力を入れてきました。独自の学校システムを構築し、多くのモン民族学校を運営。2022年には高等教育機関としてモン民族大学を開校するなど、民族文化の継承と人材育成に貢献しています。
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