モン州

ミャンマー・モン州：歴史と文化が息づく地

モン州はミャンマー南東部に位置し、アンダマン海に面した自然豊かな地域です。その歴史は古く、モン族の文明に遡ります。本稿では、モン州の歴史、地理、経済、そして観光名所について詳しく解説します。

モン族の歴史

モン族は紀元前からこの地に居住し、独自の文明を築きました。6世紀頃にはチャオプラヤ川流域に定住し、その後ミャンマー南部へと勢力を拡大。825年までには、バゴーやタトォンなどの都市国家を建設し、南部一帯を支配しました。

モン族の最初の王朝は、伝説によれば紀元前300年頃にタトンに興ったスワンナブミであると伝えられています。アショーカ王から派遣された僧侶によって仏教が伝えられ、6世紀以前には上座部仏教を受容し、インドのパーリ語経典を取り入れました。モン族はインドとモン族の文化を融合させ、独自の文明を形成しました。

モン王国の盛衰

11世紀にはクメール王朝の侵攻によりドヴァーラヴァティー王国が滅亡。その後、ビルマ族やシャン族の侵入を受け、モン族の勢力は一時衰退します。1824年の第一次英緬戦争の結果、モン州を含む下ビルマは大英帝国の支配下に入りました。

ビルマ独立とモン族の分離運動

1947年、モン族はビルマ連邦からの民族自決を求めましたが、政府に拒否され、武力紛争へと発展しました。1949年以降、モン州東部丘陵地帯は新モン州党（NMSP）とその民兵組織であるモン国家解放戦線（MNLF）の支配下となりました。1995年に停戦合意が成立しましたが、その後も人権侵害が繰り返され、国際社会から非難を受けています。

地理

モン州は東をカレン州、北をバゴー管区、南をタニンダーリ管区に接し、南東の一部はタイのカーンチャナブリー県と国境を接しています。サルウィン川がモッタマ湾に注ぐ地域に位置し、モーラミャインやモッタマなどの都市が川沿いに発展しています。

隣接する行政区画

バゴー地方域
カレン州
カーンチャナブリー県（タイ）
タニンダーリ地方域

行政区画

モン州は、モーラミャイン県とタトン県の2つの県から構成されています。州都はモーラミャインで、ミャンマー軍の南東管区本部と沿岸警備隊の本部が置かれています。

気候

モン州は熱帯モンスーン気候に属し、年間を通して温暖です。平均気温は1月で25.6℃、4月で29.4℃と、気温の変化はわずかです。年間降水量は多く、モーラミャインで4,826mm、タトォンで5,512mmに達します。特に7月、8月は雨量が多くなっています。

経済

モン州の主要産業は農業で、耕地面積の大部分で米が栽培されています。その他、ゴムの生産も盛んです。山間部では果樹やゴムのプランテーション経営が行われ、南部では沿岸漁業やその加工品（干物、魚醤、寒天など）の製造が盛んです。ビンロウの製造も重要な産業の一つです。

交通

空港: モーラミャイン空港
鉄道: ヤンゴン～モッタマ、モーラミャイン～ダウェー
フェリー: モッタマ～モーラミャイン（サルウィン川を渡る）

観光

チャイティーヨーパゴダ（Kyaiktiyo Pagoda）： 黄金に輝く巨岩の上に建てられた仏塔で、ミャンマーを代表する聖地のひとつです。
タトン: 9世紀から1057年まで存在したタトォン王国の首都。古代都市の遺跡が残っています。
タンビュザヤ戦争記念館

モン州は、豊かな自然と歴史、そしてモン族の文化が色濃く残る魅力的な地域です。ミャンマーを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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