新・平家物語 (映画)

新・平家物語

『新・平家物語』は1955年9月21日に公開された日本の歴史映画で、大映が製作・配給を行いました。この作品は吉川英治の同名小説を基にしており、三部作の最初の作品として制作されました。昭和30年度芸術祭にも参加したこの映画は、武士階級のリーダーである平清盛の成長物語を描いています。監督は名匠溝口健二で、主演は市川雷蔵が務めました。映画はカラーで108分の長さを持ち、特に撮影監督の宮川一夫や美術監督の水谷浩といった多くのベテランスタッフが参加し、その技術は高く評価されました。

ストーリーの概要

この作品は平安時代末期の背景の中で、権力と血の抗争が渦巻く時代を舞台にしています。物語は、平家の棟梁である平忠盛の嫡子、平清盛が主人公です。清盛は自分の出生にまつわる秘密を抱えながら日々成長し、貴族たちとの激しい争いの中でどのように名を成していくのかが描かれています。清盛を演じる市川雷蔵の存在感と演技力が、物語をより一層引き立てています。

キャラクターとキャスト

この映画には多様なキャラクターが登場します。清盛の正室である貧乏貴族の娘、妻時子は久我美子が演じており、物語の中で重要な役割を担います。また、清盛の母である泰子は木暮実千代が演じ、大河ドラマの背景を彩ります。清盛の父である平忠盛は大矢市次郎が演じ、清盛のアイデンティティの確立にも重要な影響を与えるキャラクターです。

友人や仲間たちも多く登場し、彼らの人生や苦悩が清盛の成長に影響を与える様子が描かれています。特に伴卜役の進藤英太郎は清盛に父の秘密を伝え、物語を一層緊張感あふれる展開に引き込みます。さらに、清盛の敵とも言える左大臣頼長（千田是也）や藤原一門、そして白河上皇（柳永二郎）といった重要人物たちが物語の重要な駆け引きを演出します。

映画の制作と影響

『新・平家物語』はその革新的なカメラワークと長回しの技法を駆使し、映画界においても新たな風を生み出しました。ヌーヴェルヴァーグの映画人たちからも高く評価され、その円熟した映像美や演技は今もなお語り継がれています。この映画は1956年には続編として『新・平家物語 義仲をめぐる三人の女』、さらに同年には3作目『新・平家物語 静と義経』が公開され、系列作品としてのブランドイメージを確立しました。

後の復刻

この映画は2006年に監督の没後50年を記念してDVD-BOXが発売され、2009年には市川雷蔵の没後40年を記念したデジタル修復版のDVDも登場しました。これにより新たな世代の観客にも、その魅力が再び届けられることとなりました。

『新・平家物語』は日本映画の一つの金字塔として、武士の誇りと人間ドラマが交差するストーリーが、多くの観客に感動を与え続けています。

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