新井の石舟古墳

新井の石舟古墳

新井の石舟古墳（にいのいしぶねこふん）は、鳥取県鳥取市国府町に位置する円墳です。また、一般には「石舟古墳」とも呼ばれています。この古墳は直径約10メートルの小規模なもので、7世紀前半に築造されたと考えられています。

構造と特徴

石舟古墳の目を引く特徴は、その横穴式石室です。石室の玄室内には、凝灰岩で作られた家形石棺が安置されています。この石棺は縦1.5メートル、横1メートルで、深さは55センチメートルあり、古くから「石舟」の名で親しまれています。古墳の共同体にとって、この石棺は歴史的にも文化的にも重要な意味を持っています。

また、周辺には平家の落人伝説が伝わっており、この古墳が二位尼の墓であるという伝承も存在します。江戸時代には「泉塚」とも呼ばれ、近くにある岡益の石堂とともに地元の信仰の対象となっていました。地元では、この石舟古墳内に溜まった泥水の量が米の豊作や不作を決めると信じられており、水をかき乱すことで100日間続く雨に繋がるという言い伝えもあります。

現在でも周囲の住民によって大切に祀られており、地域の文化に深く根差した存在となっています。

陪塚とその状況

新井の石舟古墳の東南と西南には、それぞれ約7メートルの位置に1基ずつ陪塚が残っています。これらの古墳は数十年前までは玄室内に入ることができましたが、現在では崩れてしまっています。それでも、1983年には国府町指定史跡に認定されており、切石造りの家型石棺は因幡国一帯で見られるものの中でも特に学術的に価値があると評価されています。

アクセス方法

新井の石舟古墳へのアクセスは、JR西日本の鳥取駅から車で約30分で、駅前バスターミナルから日ノ丸バスを利用すると、中河原方面行きのバスで「新井入口」で下車することができます。公共交通機関を利用して訪れることができるため、古墳を見学したい方には便利です。

参考文献

この古墳に関する詳細な情報を知りたい方は、以下の文献を参照することをお勧めします。

• - 『日本歴史地名大系32 鳥取県の地名』（平凡社、1992年）
• - 『山陰史跡ガイドブック第2巻 山陰の古墳』（史跡整備ネットワーク会議事務局、2007年）
• - 『国府町誌』（国府町、1987年）

新井の石舟古墳は、地域の歴史や文化を理解するための重要な遺跡であり、訪れることでその価値を直接感じることができるでしょう。

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