新千載和歌集

新千載和歌集

『新千載和歌集』（しんせんざいわかしゅう）は、14世紀半ばに成立した勅撰和歌集であり、二条為定によって編纂されました。この和歌集は、20巻からなり、2365首の和歌を収めています。また、これは二十一代集の中では18番目の位置を占めています。

歴史的背景

和歌集が編纂されたのは、1356年のことです。この年の6月11日、足利尊氏の執奏のもと、後光厳天皇からの勅命が下され、三条実継が奉行、二条為遠や二条為明、惟宗光之といった連署衆が選ばれました。わずか1年後の1357年には『延文百首』として詠進されますが、1358年には尊氏が亡くなり、選集は一時中断の危機を迎えました。しかし、頓阿の働きかけによって足利義詮を説得し、選集が再開されました。最終的には1359年の4月28日には四季部が奏覧され、同年の12月には全20巻が完成したのです。

構成と特徴

『新千載和歌集』は、次のテーマ別に部立されています：春上下、夏、秋上下、冬、離別、羇旅、神祇、恋一～五、雑上中下、哀傷、慶賀。この構成は和歌の多様な側面を反映しています。特に、雑下の部には長歌・旋頭歌・折句歌・物名・俳諧歌などが盛り込まれており、過去の『千載和歌集』巻18や『続千載和歌集』巻7の形式を模倣したものとされています。

収録された歌の多くは二条派や大覚寺統の歌人によるものであり、京極派の歌人も一定の評価を受けていました。これは、編纂者が二条為定でありながら、勅命が持明院統の後光厳天皇から発せられたため、勅撰和歌集内でのバランスを保つための配慮であったとされます。一方で、冷泉派や南朝の人々の歌はあまり取り上げられず、武士に関連した歌が多く収められている点が特筆されます。

歌風と影響

収録された歌の傾向は、全体として伝統的で洗練された穏やかなものが多く、癖のない平明な歌風が特徴とされています。これにより、読者には親しみやすい作品群として受け入れられています。ただし、『新千載和歌集』がその後の和歌集に与えた影響は特に見当たらないとされ、勅撰和歌集の形成と選者の権限が朝廷から幕府へと移るきっかけを作ったことが、この集の重要な歴史的位置付けとなっているのです。

このように、『新千載和歌集』はその内容や成立過程、さらには時代背景においても特異な和歌集であり、平安時代以来の和歌の伝統を踏襲しつつも、その時代の変化を反映した作品群として評価されています。

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