新名一仁

新名一仁（にいな かずひと）

新名一仁氏は、1971年生まれの日本の歴史学者です。専門は日本中世史であり、特に中世後期の南九州における政治史、とりわけ島津氏の研究において、その第一人者として広く知られています。東北大学で博士（文学）の学位を取得後、南九州大学で非常勤講師を務め、後進の育成にも尽力しています。

研究分野と業績

新名氏の研究は、島津氏を中心とした中世後期の南九州の政治動向に焦点を当てています。室町時代から戦国時代にかけての島津氏の領国支配や、周辺勢力との関係を詳細に分析し、中世史研究に重要な貢献をしています。特に、島津氏の興隆と発展、その支配構造を明らかにした研究は、学術的に高く評価されています。

略歴

1971年：宮崎県に生まれる
1994年：鹿児島大学法文学部人文学科卒業
2003年：都城市立図書館市史編さん担当非常勤嘱託
2005年：鹿児島大学共通教育センター非常勤講師
2007年：広島大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学
2007年：大淀川学習館嘱託職員
2008年：みやざき歴史文化館学芸員
2011年：宮崎市きよたけ歴史館学芸員
2014年：宮崎市生目の杜遊古館体験学習指導員
2015年：第41回南日本出版文化賞を受賞
2016年：「室町期島津氏領国の政治構造」で博士（文学）を取得
2016年：鹿児島県立短期大学非常勤講師
2019年：志學館大学非常勤講師
2022年：南九州大学非常勤講師

新名氏は、大学での教育活動のほか、地方自治体の歴史文化施設での勤務経験も豊富です。これらの経験を通じて、歴史研究の成果を地域社会に還元することにも積極的に取り組んでいます。

著書

新名氏は、これまでに多数の著書を発表しており、その研究成果は広く社会に共有されています。主な著書は以下の通りです。

単著

『日向国山東河南の攻防 室町時代の伊東氏と島津氏』（鉱脈社、2014年）
『室町期島津氏領国の政治構造』（戎光祥出版、2015年）
『島津貴久 戦国大名島津氏の誕生』（戎光祥出版、2017年）
『島津四兄弟の九州統一戦』（星海社、2017年）
『「不屈の両殿」島津義久・義弘 関ケ原後も生き抜いた才智と武勇』（KADOKAWA、2021年）

これらの著書は、島津氏の歴史を多角的に捉え、その実像を鮮やかに描き出しています。

共編著

『新薩摩学 中世薩摩の雄 渋谷氏』（南方新社、2011年）
『薩摩島津氏』（戎光祥出版、2014年）
『歴史文化遺産 戦国大名』（山川出版社、2018年）
『戦国大名の土木事業』（戎光祥出版、2018年）
『中世島津氏研究の最前線』（洋泉社、2018年）
『戦国武将列伝 九州編』（戎光祥出版、2023年）
『図説 中世島津氏 九州を席捲した名族のクロニクル』（戎光祥出版、2023年）

これらの編著では、他の研究者との共同研究を通じて、より幅広い視点から歴史を考察しています。

編訳

(上井覚兼)『現代語訳上井覚兼日記 天正十年(一五八二)十一月〜天正十一年(一五八三)十一月』(ヒムカ出版、2020年)
(上井覚兼)『現代語訳上井覚兼日記2 天正十二年（一五八四）正月～天正十二年（一五八四）十二月』(ヒムカ出版、2021年)
* (上井覚兼)『現代語訳上井覚兼日記3 天正十三年（一五八五）正月～天正十三年（一五八五）十二月』(ヒムカ出版、2023年)

これらの編訳は、一次史料である『上井覚兼日記』を現代語訳することで、歴史研究をより身近なものにしています。

社会への貢献

新名氏の活動は、学術研究に留まらず、地域文化の振興にも貢献しています。講演会や執筆活動を通じて、歴史の面白さを広く伝え、地域社会の活性化にも寄与しています。

研究者としての姿勢

新名氏は、史料に基づいた厳密な研究を基盤としつつ、歴史を多角的に捉える柔軟な視点を持っています。その研究は、過去の出来事を現代に活かすための深い洞察を提供しており、歴史学の発展に貢献しています。

新名一仁氏は、中世史研究における卓越した知識と、その研究成果を社会に還元する情熱によって、今後も歴史学の発展に大きく貢献することが期待されます。

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