新国際版聖書

新国際版聖書（NIV）の概要

新国際版聖書（NIV、New International Version）は、1978年に国際聖書協会（現ビブリカ）によって出版された英語聖書です。アメリカではゾンダーヴァン社、イギリスではホッダー＆ストウトン社から発売され、瞬く間に英語圏で最も広く普及する聖書翻訳の一つとなりました。

この翻訳には、アメリカのみならず、イギリス、カナダ、オーストラリア、南アフリカなど、英語圏の多くの学者が携わっています。多様な視点を取り入れながら、聖書原文の正確な理解と現代英語への自然な表現を両立させることを目指して翻訳作業が進められました。

NIVの翻訳は、聖書無謬説という信仰に基づいて行われています。そのため、福音主義系の教会や信徒の間で特に高い人気を誇り、多くの信者にとって親しみやすい聖書となっています。その分かりやすさと正確さを両立した翻訳は、聖書研究者や一般信者双方から高く評価されています。

NIVの普及と影響力

発行元であるゾンダーヴァン社によると、NIVは現代英語訳聖書の中で最も人気のある聖書であり、世界中で2億1500万部以上を売り上げているとのことです。特にアメリカ合衆国における福音派キリスト教徒の間では圧倒的な人気を誇り、聖書販売ランキングで常に上位を占めています。

NIVの高い人気は、その分かりやすい現代英語表現と正確な翻訳にあると言えるでしょう。聖書理解を深めるための様々な注解書や付録付きの聖書も多数出版されており、聖書研究のツールとしても広く活用されています。

NIVに対する批判

NIVは高い人気を誇る一方で、その翻訳内容や手法を巡って幾つかの批判を受けています。代表的な批判を以下にまとめます。

特定箇所の翻訳に関する批判: 例えば、エレミヤ書7章22節において「just」という単語を追加したことで、原文の意味合いが変化しているという指摘があります。これは、翻訳における解釈の余地と、その解釈が原文に忠実かどうかという点に関する議論を引き起こしています。

底本選択に関する批判: KJVオンリー派と呼ばれる、欽定訳[[聖書]]（KJV）のみを聖典として認める一部の信徒からは、NIVがテクストゥス・レセプトゥスではなく、異なる底本を選択していることを批判する声が上がっています。底本選択は聖書解釈に影響を与えるため、この点は重要な論点となっています。

* 翻訳手法に関する批判: 形式的等価訳を好むキリスト者からは、NIVが動的等価訳の手法を随所で採用しているため、原文のニュアンスが失われ、不正確な翻訳になっているとの批判があります。形式的等価訳と動的等価訳は、聖書の翻訳においてそれぞれ異なるアプローチを取ることから、この点も翻訳における解釈の多様性を示す重要な論点です。

これらの批判は、聖書翻訳における複雑な問題と、異なる翻訳アプローチが存在することを示しています。NIVは、現代英語で聖書を読み解きたいと願う多くの読者にとって貴重な資源である一方、その解釈や手法に対する異なる見解が存在することを理解しておくことが重要です。 NIVの利用にあたっては、これらの批判点を踏まえ、個々の聖句の解釈を多角的に検討することが推奨されます。

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