新型宇宙ステーション補給機

新型宇宙ステーション補給機 HTV-X

新型宇宙ステーション補給機（HTV-X）は、日本が開発した無人の宇宙補給機であり、主に国際宇宙ステーション（ISS）への物資補給を目的としています。宇宙航空研究開発機構（JAXA）によって具体化され、三菱重工業が機体システム全体を、三菱電機がサービスモジュールを担当しています。初号機の開発には356億円の費用がかかりました。

HTV-Xは、2009年から2020年にかけて9回のISS補給ミッションを成功させた先代のHTV（こうのとり）の後継機として設計されています。輸送能力の大幅な向上や、モジュール構成の改良により、射場での作業は短縮され、より効率的になります。また、補給ミッション終了後にISSを離れ、最大1年半にわたって技術実証ミッションを喫行できる機能も持っています。

やがて、初号機であるHTV-X1号機は2025年10月26日に種子島宇宙センターからH3ロケットで打ち上げる準備が整います。今後の計画では、2029年度までに計5回の補給ミッションを実施する予定です。さらに開発計画はISSへの補給に留まらず、月軌道プラットフォームゲートウェイや将来の商業宇宙ステーションへの物資供給にも対応できる柔軟性を持たせています。

名称と開発背景

HTV-Xの名称は、先代のHTV（H-II Transfer Vehicle）の続編としてそのまま正式に採用されたもので、特別な意味を持たないアルファベットの組み合わせです。また、和名の愛称は公募されない方針です。

開発は2015年に始まり、2020年までに運用を開始する計画でしたが、H3ロケットの開発遅延により2019年に打ち上げが予定されていました。その後、COVID-19の影響もあってすべての進行が遅れ、最終的に2025年度に打ち上げることとなりました。

ミッションや機体設計

HTV-Xには、物資の輸送、技術実証、国際宇宙探査など、さまざまなミッションが期待されています。通信インタフェースをSバンドで直接地上局と行える機能や、各種実証を行えるモジュール化アーキテクチャも整備されています。

機体はサービスモジュールと与圧モジュールの2つのモジュールで構成され、それぞれが独立して機能するよう設計されています。この独自性により、将来的にはそれぞれが個別に運用される可能性もあります。

具体的には、サービスモジュール（SM）は機能を集約し、従来のHTVからの大幅な軽量化や搭載能力の向上が図られています。与圧モジュール（PM）は流用された部分もあり、設計がコンパクトになっています。これにより、打ち上げ時には合計16.0トンの貨物を搭載することが可能で、物資を効率よく輸送できます。

発展的な構想

HTV-Xの開発は、将来の月探査補給機や商業的利用に向けた基盤ともなります。月軌道プラットフォームへの補給に向けた新型機（HTV-XG）や、商業物資補給船（HTV-XC）の開発も進行中です。これにより、日本の宇宙活動はさらなる拡大を見込んでいます。

まとめ

新型宇宙ステーション補給機HTV-Xは、日本が国際宇宙ステーションへの物資供給を円滑に行うために設計された先進的な宇宙機です。今後の宇宙探査活動にも貢献する役割を担うことが期待されており、日本の宇宙技術の更なる発展が楽しみです。

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