新城市Sバス

新城市Sバスとは

愛知県新城市内を走るコミュニティバスは、「新城市Sバス」と呼ばれています。「新城Sバス」や単に「Sバス」という略称でも親しまれています。この「S」には、新城（Shinshiro）はもちろん、学校（School）、買い物（Shopping）、安全（safety）など、バスが地域の暮らしの中で担う様々な目的や役割が込められています。

路線の運行は、豊鉄バス（吉川市川線、作手線）と豊鉄タクシー（北部線、西部線、やな線）に委託されています。

概要

新城旧市域の交通環境改善を目指して新設された北部線や西部線では、ワゴン車（ジャンボタクシー）が主に利用されています。かつて豊橋鉄道が北部線を運行していた時期には専用の小型ノンステップバスが使われていましたが、委託先が豊鉄タクシーに変更された際に転出しました。

一方で、旧中宇利線、吉川市川線、作手線は、かつて豊鉄バスの路線でしたが、Sバスに移行した後も引き続き豊鉄バスが運行を担っており、豊鉄バスの一般的な車両が使用されています。

鳳来地区や作手地区の路線は、平成の大合併で新城市に加わる前の鳳来町や作手村がそれぞれ運営していた「町営バス」「村営バス」が元になっています。合併後に新城市営バスとなり、最終的にSバスの体系に統合されました。

主要バス停

市民の生活動線や地域内の主要な施設を結ぶため、いくつかのバス停が拠点となっています。

• - 新城市民病院: 作手線、中宇利線、吉川市川線、北部線、西部線が発着する主要な結節点です。
• - JR飯田線 大海駅: 北部線、塩瀬線が利用できます。
• - 旧サイクリングターミナル前: 布里田峯線、塩瀬線が停車します。
• - JR飯田線 本長篠駅: 秋葉七滝線、長篠山吉田線が発着し、豊鉄バスの他の路線やJR飯田線への乗り換えが可能です。

主な路線

新城市Sバスは、地域の実情に応じた様々な路線を展開しています。

• - 吉川市川線: 新城市民病院を中心に、新城栄町や新城有教館高校などを経由する循環路線です。
• - 作手線: 新城市街と作手地区を結びます。時間帯によって一部経路が異なり、新城有教館高校へのアクセスも考慮されています。
• - 北部線: 新城郵便局、新城駅、市民病院などを結び、大海駅を経由して緑が丘まで運行します。かつて公共交通が手薄だった地域をカバーするために新設されました。
• - 西部線: 川田原滝から新城郵便局、新城駅、市民病院などを経由し、東新町駅や新城東高校へ向かいます。こちらも路線バスがなかった地域をカバーするために設けられました。
• - 秋葉七滝線: 本長篠駅を中心に、三河大野駅や阿寺などを巡る循環路線です。かつて国鉄バスや豊鉄バスの路線だった区間を含みます。
• - 長篠山吉田線: 本長篠駅から郷ヶ平などを巡回します。元は遠州鉄道バスの路線でした。一部区間の廃止やバス停の新設が行われています。
• - 布里田峯線: 玖老勢や鳳来中学校方面から、布里や只持中を経由して大輪へ向かいます。もとは豊鉄バスの路線でした。
• - 塩瀬線（塩瀬布里循環線）: 大海駅を起点に、布里や小島、塩瀬などを経由します。もとは豊鉄バス鳳来寺線の一部でした。
• - やな線: 富岡ふるさと会館から桜淵公園までを結ぶやな幹線と、八名地区内の区域運行を組み合わせた路線です。中宇利線の後継として最近運行が始まりました。区域運行は予約が必要です。
• - 守義線: 高里と鳴沢橋を結びます。通学時間帯は定期運行ですが、日中は予約制のデマンド運行となります。かつて名鉄バスが東岡崎駅まで運行していた区間を含みます。
• - つくでバスデマンド路線: 作手地区内を巡回する予約制の路線です。
• - 湯谷温泉もっくる新城線: 道の駅もっくる新城から、長篠城址前、本長篠駅、三河大野駅などを経由し、湯谷温泉駅方面へ向かいます。地域住民の利便性向上と観光客の二次交通確保を目的としています。

運転・利用方法

• - 運行日は路線によって異なります。旧新城市地区のほとんどの路線（作手線を除く）は平日のみ運行ですが、鳳来・作手地区や湯谷温泉もっくる新城線は土曜日も運行します。
• - 運賃は作手線を除き、一乗車大人200円、小児100円の均一料金です。回数券や定期券も利用できます。
• - 支払い方法は、現金のほか、豊鉄バスが受託する路線以外ではコード決済のPayPayも利用可能です。将来的には吉川市川線と作手線で交通系ICカードmanacaが導入される予定です（2025年3月15日予定）。
• - 布里田峯線と塩瀬線を利用する際は、布里地区で乗り継ぎ券を利用することで通し運賃が適用されます。
• - つくでバス（守義線の一部区間を含む）や、やな線の一部の利用には事前の予約が必要です。
• - 一部の区間では、指定されたバス停以外でも自由に乗り降りできるフリー乗降が実施されています。

沿革

新城市Sバスに至る歴史は、旧町や村営バスの時代まで遡ります。

• - 1985年頃：作手村営バスや鳳来町営バスの一部路線が運行を開始しました。
• - 1987年：吉川市川線や中宇利線などが、豊鉄バスの廃止代替バスとして新城市により維持されるようになりました。
• - 2001年：新城北部線が運行を開始し、「Sバス」の名称が初めて使われました。
• - 2005年：鳳来町と作手村が新城市と合併し、町営・村営バスが新城市営バスとなり、Sバス体系への統合が進みました。
• - 2008年：運賃が大人200円均一に変更され、作手地区や鳳来地区の路線再編が行われました。つくであしがる線新設や守義線の一部廃止、塩瀬線新設などがありました。
• - 2008年：西部線が運行を開始し、新城市内の新たな地域をカバーするようになりました。
• - 2010年：豊鉄バスの作手線がSバスとして運行されるようになりました。
• - 2019年以降：守義線の日中帯やつるであしがる線が予約制のデマンド運行に移行しました。
• - 2020年：湯谷温泉もっくる新城線が新設されました。
• - 2024年：中宇利線が廃止され、後継となるやな線が運行を開始しました。

新城市Sバスは、地域の足として、その形態や路線網を時代に合わせて変化させながら、市民の生活を支え続けています。

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