新宿 (水戸街道)

新宿宿（にいじゅくしゅく）

新宿宿は、水戸街道の千住宿から一つ目に位置する宿場町です。かつては「あらしゅく」と呼ばれていましたが、現在は「にいじゅく」と読むのが一般的です。この宿場町は、現在の東京都葛飾区新宿2丁目に存在していました。

歴史

戦国時代、後北条氏が葛西城を整備する一環として、この地に新たな宿場を設けたのが新宿の始まりです。宿場町は、日光街道から分岐して中川を渡り、現在の中川橋東詰から南下する上宿・中宿と、日枝神社付近から東へ向かう下宿の三つに大きく分かれていました。

新宿宿は小規模な宿場町で、問屋場は設けられていましたが、本陣は置かれていなかったとされています。2005年の時点では、宿場町としての古い建築物はほとんど残っていません。

中川を渡る「新宿の渡し」は、宿場町にとって重要な収入源でした。しかし、明治時代に入り、常磐線の駅を新宿に設置する計画が持ち上がったものの、反対運動によって駅は隣の亀有と金町に設置されることになりました。この出来事が、新宿宿が衰退する一因となりました。

下宿の東端には、佐倉街道（成田街道）への追分があり、水戸街道石橋供養道標が建てられていました。この石碑は一時、葛飾区郷土と天文の博物館に保管されていましたが、現在は元の場所に戻されています。

現在では、石碑と枡形の旧道筋が、往時の面影をわずかに伝えています。東京都道467号千住新宿町線は、今もこの旧道筋が指定されていますが、後に枡形をショートカットする新しい道が建設されたため、旧道筋はわかりにくくなっています。

周辺

新宿宿周辺には、以下の寺社仏閣が存在しました。

立増寺
宝蓮寺
西念寺
日枝神社
浄心寺

その他、帝釈道追分石碑や、中島守利像も周辺に存在しています。

隣接する宿場

新宿宿の隣には、以下の宿場町がありました。

千住宿（水戸街道）：新宿宿から約6キロ。
松戸宿（水戸街道）：新宿宿から約7キロ。

千住宿と新宿宿の間には、昭和になって荒川放水路が開削されたため、小菅の東京拘置所までの区間は、かつての面影を失っています。中川を挟んだ対岸の亀有駅南側には、間の宿として亀有宿があり、一里塚跡には水戸光圀と助さん格さんの三人組を彫った石像が置かれています。

佐倉街道との追分を過ぎると、柴又帝釈天へ続く道が分岐していました。また、江戸川の江戸側には、間の宿として金町宿があり、葛西神社などが残されています。ただし、葛西神社から金町関所跡までの旧街道筋は、江戸川の河川改修によって失われています。

現在の新宿

現在の新宿は、かつての宿場町としての面影は薄れていますが、石碑や旧道筋が歴史を物語っています。東京都道467号千住新宿町線は、現在も旧道筋を通っていますが、新しい道路の整備によって、その姿は分かりづらくなっています。

関連項目

新宿 (葛飾区)

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