佐倉街道

佐倉街道について

佐倉街道（さくらかいどう）は、江戸時代に整備された脇街道の一つであり、佐倉城を終点とする街路です。この街道には主に2つのルートが存在し、それぞれ異なる呼称で知られています。歴史的な観点からは、水戸街道新宿から佐倉を結ぶルートを「水戸佐倉道」、千葉港（旧・寒川湊）から佐倉を結ぶ道を「千葉佐倉道」と呼び分けることが一般的です。

水戸佐倉道

水戸佐倉道は、江戸幕府によって「佐倉道」「佐倉街道」と名付けられた街道で、東京都内から水戸街道新宿を経て佐倉城に至ります。この道は、特に成田山新勝寺への参詣が盛んになったことにより、文化年間からは「成田道」または「成田街道」と愛称されるようになりました。現在も千葉県の道路愛称名において「成田街道」と呼ばれていますが、もともとは江戸幕府が開設した佐倉街道に他なりません。

東京都内では、水戸街道新宿の追分から南へと分岐し、いくつかの鉄道線や道路と交差しながら、最終的には江戸川土手にたどり着きます。この地域には「桜道中学校」や「親水さくらかいどう」といった、街道に由来する名称の施設が点在しています。

千葉県内では、道路の大部分は国道14号や国道296号と重複しており、市川宿、八幡宿、船橋宿、大和田宿（八千代市）、臼井宿（佐倉市）を経由して佐倉城下まで続いています。この延長線上には、芝山を経て九十九里浜へ、また多古を経て佐原に至る多古街道も存在します。また、酒々井で左折することで成田道に接続し、成田へ向かうことも可能です。

千葉佐倉道

千葉佐倉道は、現在の千葉県道路愛称名では「佐倉街道」と呼ばれています。この道路は、国道51号（千葉県道22号千葉八街横芝線が重複）であり、千葉市中央区から始まり、佐倉市神門を経てさらに佐倉市海隣寺町に至ります。この道は、元々は中世に千葉氏が亥鼻城と本佐倉城を繋いでいた道に起源を持ちます。江戸時代には、佐倉藩が整備したことで「佐倉道」「佐倉街道」と呼ばれるようになりました。この道は、江戸から寒川湊に年貢米を運ぶための重要な経路でもあったため、別名「南年貢道」とも呼ばれていました。

千葉佐倉道は、成田山詣でに向かう旅行者たちが千葉妙見宮や千葉寺を参拝したのち、成田山新勝寺に向かうための便利な道でもありました。これにより、「成田道」や「成田千葉寺道」といった愛称も用いられるようになったのです。

その他の佐倉街道

水戸佐倉道が通じる以前、江戸から荒川にかけての道筋が、現在の国道14号南方を並行して走る「元佐倉道」として知られていました。明治時代に入ると、この道は「千葉街道」と改称されましたが、荒川以西部分は「旧千葉街道」と呼ばれるようになりました。

また、千葉佐倉道から分岐する道が千葉県道64号千葉臼井印西線で、これも地域住民から「佐倉街道」と呼ばれることがあります。しかし、実際にはこのルートは「臼井街道」とも呼ばれ、亥鼻城と臼井城を結んでいた中世から続く街道にその起源を持ちます。

このように、佐倉街道は多くの市町村を経由し、歴史的にも多様な役割を果たしてきた重要な交通路であると言えるでしょう。

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