新宿ロマン劇場

新宿ロマン劇場の歴史

新宿ロマン劇場は、1971年から1989年の間、東京都新宿区に存在した映画館で、映画ファンにとって重要な文化の場でした。その歴史は彼の前身である新宿松竹館にまでさかのぼります。

新宿松竹館

1924年に開業した新宿松竹館は、当時の四谷区新宿三丁目に位置し、建物は阿部美樹志の設計によるバラック建築でした。3階建ての客席を持ち、当初は松竹が経営を担当していました。初の上映作品としては『不如帰 浪子』などがあり、後には松竹以外の映画も上映されるようになり、特に日本映画に特化していました。

1931年には増改築工事が行われ、6階建ての新たな形態で再オープンしました。その後、1943年からは演劇の上演も開始され、戦後も軽演劇など多彩な実演が行われました。1946年、映画の上映が再開され、新宿ハリウッド、そして新宿大映と名前を変えながら、歴史を築いていきました。

新宿ハリウッドと新宿大映

1948年に新宿ハリウッドに改名し、新装オープンしました。この時の上映タイトルには『アンナとシャム王』があり、以降は1948年に新宿大映として再び衣替えをしました。初期の上映作には『情熱の人魚』や『静かなる決闘』がありました。

新宿ロマン劇場

1971年、大映が倒産し、新宿ロマン劇場として生まれ変わりました。ここから洋画のロードショー館としての新たな歴史が始まります。1975年には「故・市川雷蔵七回忌特集」を上映し、多くの観客で賑わいました。1977年には再び洋画のロードショー館に戻り、人気作品を次々と放映しました。

1987年には名作『王立宇宙軍 オネアミスの翼』が上映され、1989年1月16日には、最後の興行として『ザ・コップ』が上映されました。この日は、東京都内で初の映画館が閉館する日となりました。閉館後、劇場の備品はチャリティ・オークションに出され、一部は新宿歴史博物館に寄贈されました。

跡地と建物

新宿ロマン劇場の跡地に建てられたのは、丸井の商業ビルで、地下2階から地上8階までの構造を持ち、2004年8月まで営業しました。その後、コメ兵がこの場所を借り、2020年に閉店。この地では新たに「キュープラザ新宿三丁目」が開業しました。

映画館として計画された当初の建物は、建坪180坪の鉄筋コンクリート造で、実際の構造もおしゃれなデザインが施されていました。1931年の改装により、建物上部には光源を照明に用いた円形のガラス広告塔が追加され、「山の手銀座・新宿のシンボル」と称されました。

内装には大理石やタイルがふんだんに使用され、無声映画が主流の頃には地下に弁士の控室も設けられていたことも、映画館の文化的な重要性を物語っています。新宿ロマン劇場はただの映画館ではなく、時代の変遷を見守ってきた歴史的な場であったのです。

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