新庄まつり

新庄まつり

新庄まつりは、山形県新庄市で毎年8月24日から26日にかけて開催される、豪華な山車と勇壮な囃子が特徴的な祭です。この祭りは、宵まつり、本まつり、後まつりの三部構成で、地域住民だけでなく多くの観光客も魅了しています。

概要

新庄まつりは、山車祭として知られ、各町内が趣向を凝らした山車を制作します。山車は歌舞伎や御伽話を題材にしており、その豪華絢爛な装飾は見る人々を圧倒します。山車を制作する「若連」と、囃子を演奏する「囃子若連」が祭りを盛り上げます。囃子は、「寄せ笛」「宿渡り」「羯鼓」「二上がり」の4曲があり、特に「宿渡り」と「羯鼓」は祭りの主要な演奏曲として知られています。

山車

地元では「やたい」と呼ばれる山車は、進行方向の左側が特に豪華に飾り付けられます。山、桜、牡丹、松、滝といったモチーフが必ず用いられ、その他は各若連のアイデアによって、趣向が凝らされた装飾が施されます。かつてはドライアイスや内部に人が入る仕掛けもありましたが、現在は安全上の理由から禁止されています。山車は、前面の梶棒と2本の曳き綱で引かれ、当日は小学生などの「小若」が曳き手として活躍します。山車の運行には、電線や脇木への接触を防ぐため、左右に棒を持った「電線上げ」と呼ばれる係が配置されます。

囃子

囃子は、口伝で伝えられるため、各集落によって微妙に異なります。祭りの楽しみの一つとして、囃子若連ごとの演奏を聴き比べるのもおすすめです。楽器は、笛、鉦、大太鼓、小太鼓、三味線で構成され、山車の後部に設けられた腕木に大太鼓と小太鼓が取り付けられます。祭りの期間前になると、新庄市の郊外では夜に囃子の練習音が聞こえてきます。また、8月中旬には、各囃子若連が担当する町内を囃して歩く「中帳場」が行われます。

歴史

新庄まつりの起源は、1756年（宝暦6年）に遡ります。前年の飢饉で多くの餓死者が出た際、新庄藩主が領民に活気を与え、豊作を祈願するために天満宮の祭典を行ったのが始まりとされています。山車が登場したのは1776年で、祇園[[祭]]の影響が見られると考えられています。時代とともに祭りは大規模化し、1962年には灯籠によるライトアップが始まり、その後、山車に電飾が施されるようになりました。2009年には「新庄まつりの山車行事」として重要無形民俗文化財に指定され、2016年には「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコの無形文化遺産に登録されました。2019年には過去最高の56万人の人出を記録しましたが、2020年には新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となりました。

日程

宵まつり (8月24日)

午前中に最上公園で新庄囃子が奉納され、戸沢神社の例大祭が行われます。午後には若連と囃子若連が各山車小屋に集合し、山車を披露しながら市内を練り歩きます。夕方には、ライトアップされた山車が新庄駅に向かって運行し、駅前で合流します。祭りの雰囲気をいち早く味わえる宵まつりは、多くの見物客で賑わいます。

本まつり (8月25日)

午前中に、天満神社で例大祭が執り行われ、全若連の山車が最上公園前に集合します。その後、神輿渡御行列を先頭に、山車が新庄駅前へ向けて運行します。午後には、市内を練り歩き、夕方には各山車小屋に戻ります。沿道では、企業などが曳き手や若連に冷水をふるまう光景も見られます。

後まつり (8月26日)

最上公園で鹿子踊が奉納され、午後には中心商店街で「街中鹿子踊」として披露されます。山車は飾り山車として展示され、囃子の演奏も行われます。夕方には素人歌謡演芸ショーが開催され、祭りの幕を閉じます。この日には、年間展示山車選考会の結果が発表され、選ばれた山車は一年間展示されます。

花もらい

祭り期間中には、「花もらい」と呼ばれる寄付金集めが各若連によって行われます。これは、山車制作や運行に必要な資金を集めるための慣習で、市民の善意によって支えられています。地域によっては、この慣習を理解していない人がいるため、トラブルになることもあるようです。

その他

祭り期間中は、市中心部で交通規制が敷かれます。また、山形放送と山形テレビがそれぞれ祭りの番組を制作し放送します。近年は、派遣事業として県内外の祭りでも山車巡行が行われるようになり、新庄まつりの魅力を広めています。

新庄まつりは、歴史と伝統が息づく、地域住民の誇りとも言える祭りです。豪華な山車や勇壮な囃子、そして地域の人々の熱意が一体となって、多くの人々を魅了します。ぜひ一度、新庄まつりを訪れて、その迫力と魅力を体感してみてください。

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