新月 (駆逐艦)

駆逐艦新月の歴史

概要

新月（にいづき）は、日本海軍が太平洋戦争中に運用した駆逐艦で、秋月型駆逐艦の5番艦にあたります。この艦名は「新月（しんげつ）」の訓読みで、朔の後で初めて夕方に見える月を意味します。新月は三菱重工業長崎造船所で1941年から1943年の間に建造され、訓練部隊の第十一水雷戦隊に編入されて訓練や護衛任務を行いました。

本艦は1943年に第八艦隊に配属され、ソロモン諸島へ進出した後にニュージョージア島の戦いに参加しました。しかし、1943年7月5日にクラ湾夜戦で敵艦に撃沈され、この戦闘で再編成された第三水雷戦隊司令部も全滅します。そのため、新月の活躍は短期間で終わりました。新月は竣工からわずか3ヶ月の命でした。

建造過程

新月は1939年度計画に基づいて仮称108号艦として建造が開始され、1941年の太平洋戦争開戦日には起工されました。艦名が与えられたのは1942年の5月であり、同年の6月には進水、1943年3月に艤装を終えて正式な艦となりました。新月は竣工後すぐに横須賀鎮守府に所属し、第十一水雷戦隊の一員として訓練に従事しました。

第十一水雷戦隊での活動

新月はその後、瀬戸内海での訓練を経て、様々な護衛任務や輸送任務を担いました。特に、5月の初旬には軽巡「大淀」とともに連合艦隊主力艦艇と同行して作戦に参加します。しかし、アッツ島守備隊の玉砕によって北方への作戦は中止され、新月も横須賀に戻されることとなります。

ニュージョージア島の戦いとクラ湾夜戦

新月は5月末に第八艦隊に配属され、支援任務を行った後、6月にはラバウルへ進出します。新月は引き続き、アメリカ軍の攻撃に対して抵抗するために活躍しましたが、7月4日から5日にかけて行われたクラ湾夜戦の際、敵艦隊との遭遇により撃沈されます。艦長を含む290名が戦死し、新月はそのまま海に沈むことになりました。沈没地点はコロンバンガラの東8kmとされています。

残骸の発見

新月の残骸は2019年に調査船ペトレルによって発見され、非常に損傷が見られましたが、状態の良い前部マストと主砲が確認されました。これにより、新月の戦闘史とともにその足跡が再評価されることとなりました。

歴代艦長

艦長を務めた金田清之中佐は、最後の戦闘で命を落としました。この艦の歴史は、太平洋戦争の激しい戦闘と艦船の運命を物語っています。新月の活動は短命でしたが、その功績は今も記憶されています。

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