新本別信号場

新本別信号場（しんほんべつしんごうじょう）は、かつて北海道茅部郡鹿部村（現在の鹿部町）本別の地に設けられていた、日本国有鉄道（国鉄）が管轄する函館本線のうち砂原支線に属する信号場でした。

概要

この信号場は、主に列車の行き違いや待避を行うための施設として運用されていましたが、その存在期間は比較的短命でした。

歴史

新本別信号場の歴史は、太平洋戦争終結間際の1945年（昭和20年）6月1日に始まります。

この日、国鉄函館本線の別線ルートである砂原支線のうち、軍川駅（現在の名称は大沼駅）から渡島砂原駅に至る区間が開業しました。新本別信号場は、この新たな路線の開設と同時に設置された施設の一つです。

開設当時の位置は、函館駅を起点として38.710キロメートルの地点にあたり、砂原支線の起点である軍川駅からは11.4キロメートルの距離に相当しました。

しかし、信号場としての役目を果たしたのは短い期間でした。正確な廃止年月日は公式記録上明らかになっていませんが、1949年（昭和24年）に廃止されたとされています。一部の資料では、廃止時期が「8月1日ごろ」と推測されています。

開設からわずか4年余りでその歴史に幕を閉じたことになります。

位置と周辺

新本別信号場が設けられていたのは、現在の鹿部町本別地区です。この地域は、駒ヶ岳の山麓に広がり、噴火の際の火山泥流対策として建設された砂原支線が通る自然豊かな場所でした。信号場は、函館本線（砂原支線）の経路上の重要な地点に配置されていたと考えられますが、具体的な施設規模や構造に関する詳細な情報は多くは残されていません。

隣接駅

信号場として機能していた当時の函館本線砂原支線における隣接駅は、以下の通りでした。

函館方面：銚子口駅
森方面：鷹待駅（現在の鹿部駅）

新本別信号場は、銚子口駅と鷹待駅（現・鹿部駅）の間に位置しており、これらの駅間を結ぶ線路の運行を調整する役割を担っていたと推測されます。

大沼電鉄の駅との違い

特筆すべき点として、この国鉄の新本別信号場とは別に、過去に存在した別の鉄道会社である大沼電鉄にも同名の「新本別駅」がありました。

大沼電鉄の新本別駅は、戦後の一時期に営業を再開した際に「宮の浜駅」と改称されましたが、その位置は国鉄の信号場が設置されていた場所とは異なります。

歴史的な記録を紐解く際には、国鉄の信号場と大沼電鉄の駅とを混同しないよう注意が必要です。

廃止とその後の状況

1949年の廃止後、新本別信号場の施設は撤去されたと考えられます。信号場であった場所を示す明確な痕跡は、現在の鹿部町の風景の中にはほとんど見られないものと思われます。

開設から短期間で廃止された背景には、戦後の鉄道輸送状況の変化や、信号場としての必要性の低下など、様々な要因があった可能性が考えられます。しかし、具体的な廃止理由は詳細には伝えられていません。

新本別信号場は、わずか数年という短い期間ではありましたが、戦中から戦後にかけての混乱期における函館本線砂原支線の運行を支えた歴史の一部として、記録に残されています。

日本の鉄道史、特に北海道における地方鉄道の歴史を振り返る上で、こうした短命に終わった施設もまた、その時代の鉄道網のあり方や運用実態を知る貴重な手がかりとなります。

もう一度検索