新東京行進曲 (1953年の映画)

『新東京行進曲』は、1953年に公開された川島雄三監督による日本映画です。入江徳郎、辻本芳雄、戸川幸夫によるリレー小説を原作とし、小学校以来の親友である6人の男たちを中心に物語が展開されます。

あらすじ

物語は、新聞記者の真砂隆、建築技師の林三郎、新聞社発送部員の霧山一夫、都電運転手の遠藤良雄、ボクシング選手の北野広、そして寿司屋の亭主である小川金一という、それぞれ異なる職業を持つ6人の男たちが軸となります。

真砂隆、林三郎、遠藤良雄

新聞記者の真砂隆は、都庁に勤務する須田美代子に恋心を抱いています。しかし、同僚の女性記者である一ノ瀬文子は、真砂に対してひそかに愛情を抱いていることに彼は気づいていません。さらに、林三郎もまた、須田美代子に想いを寄せる恋敵の一人でした。

一方、真砂の人柄に惚れ込んだ警視庁の桶詮造警部は、自分の娘である桶昭子を真砂の妻にしたいと考えています。しかし、昭子はすでに遠藤良雄と恋仲にありました。

真砂は同僚の文子と共に汚職事件を調査する中で、その中心人物が恩師である須田昌平であることを知ります。苦悩の末、真砂は新聞記者としての使命を優先し、事件を記事として公表します。その時、彼は初めて、自分が想いを寄せる須田美代子が須田昌平の実娘であることを知ります。真砂は、美代子への想いを封印し、文子の気持ちを受け入れる決意をします。

小川金一

寿司屋を営む小川金一は新婚でありながら、妻に頭が上がらない日々を送っています。

霧山一夫、北野広、遠藤良雄

霧山一夫は、親友であるボクシング選手の北野広を避けていました。かつてスパーリングの練習相手だった霧山は、北野のパンチによって片目を失明してしまいます。その事実を知った北野に責任を感じさせたくないという霧山の思いやりからでした。その後、北野は世界選手権タイトルマッチで勝利し、霧山と再会を果たします。二人は互いの勝利を喜び合いました。

同じ頃、北野が試合を行った会場では「ミス職場」の発表会が行われており、遠藤良雄の恋人である桶昭子が一位に選ばれます。その様子を寂しげに見つめる真砂の隣には、いつの間にか文子が寄り添っていました。

映画の特徴

『新東京行進曲』は、1950年代の東京を舞台に、そこに生きる人々の日常や人間模様をコミカルかつ sentimentally 描いています。6人の男たちのそれぞれの人生が交錯する中で、恋愛、友情、仕事、家族といった普遍的なテーマが浮かび上がってきます。川島雄三監督ならではの軽妙な演出と、豪華キャストの演技も見どころです。

スタッフ

監督: 川島雄三
製作: 小倉武志
脚本: 柳沢類寿
原作: 入江徳郎、辻本芳雄、戸川幸夫
音楽: 木下忠司

キャスト

真砂隆: 高橋貞二
林三郎: 北上弥太郎
一ノ瀬文子: 小林トシ子
須田美代子: 淡路恵子
霧山一夫: 三橋達也
桶詮造: 日守新一
遠藤良雄: 大坂志郎
小川金一: 桂小金治
北野広: 沼尾釣

『新東京行進曲』は、戦後の復興期における東京の活気と、そこに生きる人々の希望や葛藤を描いた作品として、今もなお多くの人々に愛されています。

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