新海竹太郎

新海竹太郎の生涯と彫刻作品

新海竹太郎（しんかい たけたろう、1868年3月3日 - 1927年3月12日）は、山形県山形市に生まれた著名な彫刻家であり、特に騎馬像に卓越した技術を持つことで知られていました。彼は仏師の家庭に生まれ、もともとは軍人を目指していましたが、転機が訪れます。1888年、近衛騎兵大隊に入隊したものの士官候補生試験に落ち込み、落胆の日々を送りました。

そんな中、彼が部隊で手遊びで作った馬の木彫が評判を呼び、上官の北白川宮能久の励ましを受けて彫刻家を志すことになります。1891年に除隊後は、彫刻の道を歩むために後藤貞行の下で修行を始めました。後藤は高村光雲のもとで仕事をしており、竹太郎は彼から多くのことを学びました。また、浅井忠や小倉惣次郎の指導を受けることで、デッサンや塑像の技術を磨いていきます。

竹太郎のキャリアの中で大きな際立った成果は、1896年に北白川宮能久親王騎馬像の制作依頼を受けたことです。この像は1899年に原型が完成し、翌年には鋳造されました。彼はその後も作風を進化させ、1900年にパリ万国博覧会を契機に渡欧し、ベルリン美術学校の彫刻部でエルンスト・ヘルテルに学ぶことで、ドイツのアカデミックな技法を習得します。2002年に帰国後は、中村不折らと共に設立した太平洋画会の中核を担い、彫刻部の主任として後進の指導にあたりました。

竹太郎は特に騎乗姿勢の表現に長けており、北白川宮能久親王騎馬像の他にも、大山元帥や南部伯爵の騎馬像を手がけました。そのスタイルはアカデミックでありながら、アール・ヌーボーの要素を取り入れた作品も多々見られ、日本や東洋のテーマを扱った斬新な表現が魅力となっています。1907年からは文展の審査員を務め、1917年には帝室技芸員に、1919年には帝国美術院会員として活動を広げました。

竹太郎の主な作品には、以下のようなものがあります：

• - 小松宮彰仁親王像（木彫、1893年、靖国神社遊就館所蔵）
• - 北白川宮能久親王騎馬像（1903年、現在は北の丸公園国立近代美術館工芸館前）
• - 大山元帥騎馬像（1918年、九段坂）
• - 青山胤通像（1920年、東京大学病院前）
• - 有栖川宮威仁親王像（1921年、天鏡閣）
• - ジョサイア・コンドル像（1922年、東京大学工学部前）
• - その他も多数

新海竹太郎は、彫刻の分野において独自の地位を築き、質実剛健な作風で長年にわたり多くの作品を生み出しました。彼の功績は、後の彫刻家たちにも影響を与え、現代においても彼の作品は高く評価されています。1927年、彼は心臓病により亡くなったものの、その名声は現在も色あせることがありません。彼の作品と業績は、彫刻界における重要な遺産として今日に引き継がれています。

もう一度検索