新潟県立湯沢高等学校

新潟県南魚沼郡湯沢町に、かつて地域の教育を支えた公立高等学校がありました。それが新潟県立湯沢高等学校（にいがたけんりつゆざわこうとうがっこう）です。1978年に開校しましたが、時代の流れとともに生徒数が減少し、2008年 3月31日に新潟県立六日町高等学校への統合という形で、30年の歴史に終止符を打ちました。

概要

湯沢高等学校の始まりは、1948年に設置された新潟県立六日町高等学校の定時制課程湯沢分校でした。六日町高校の分校が独立する形で開校した高校としては、他にも塩沢商工高校（旧塩沢分校）や八海高校（旧五日町分校）などがあります。

閉校する2008年まで、湯沢高校は新潟県内で最も南に位置する高等学校でした。その校地は、閉校後に校舎が解体され、2014年に開校した新しい教育施設「湯沢学園」（湯沢認定こども園、湯沢町立湯沢小学校、湯沢町立湯沢中学校）の敷地として生まれ変わりました。現在、その場所には湯沢学園の校舎が建っています。

掲げられていた教育目標は「自律･忍耐」「明朗･誠実」「敬愛･協和」でした。校歌の作詞は高野喜久雄氏、作曲は細矢禊氏が手掛けました。

沿革：分校から独立、そして閉校へ

湯沢高校の歴史は、1948年 5月1日に六日町高校湯沢分校として認可されたことから始まります。授業は当初、湯沢村立の小学校と中学校の校舎を間借りして行われ、初年度の入学生は28名でした。登校は週に数日という定時制ならではの形でした。

1953年 11月1日には、湯沢中学校の西隣に独立した校舎が完成し、間借り生活に終止符が打たれました。その後も生徒や教職員から教育設備の充実を求める声が上がり、町への陳情が何度か行われました。

特に大きな転換点となったのは、1973年です。郡内の自治体首長や中学校長が集まり「湯沢分校全日制移行期成同盟会」を結成し、県への働きかけを開始。その結果、翌年からの全日制への移行が決定しました。この決定を受けて入学志願者が急増するなど、地域からの期待の大きさがうかがえました。

1974年 4月1日、念願の全日制課程がスタート。増加した生徒に対応するためプレハブの仮校舎も使用されるなどしましたが、地域はさらなる発展を目指し、期成同盟会は「独立期成同盟会」と名前を変えて活動を継続しました。

1976年、県教育委員会の分校教育整備の方針と、同盟会の働きかけが実を結び、湯沢中学校に隣接する現在の場所に新校舎の建設が決定しました。1977年 6月10日には新校舎の第一期工事が完了し、移転が行われました。この頃、通学の便を考慮し、岩原仮停車場（現在の岩原スキー場前駅）に電車が停車するようになり、アクセスが改善されました。

そして1977年 12月19日、新潟県議会にて正式な独立・設置が決定。年が明けて1978年1月1日に新潟県立湯沢高等学校として設立が公示され、独立校としての歴史が始まりました。

1978年 4月1日に開校し、8日には第1回入学式が挙行され、144名が入学しました。同年中には校旗樹立や校歌発表会、開校記念式典が行われ、独立校としての体制が整えられていきました。1979年には体育館が完成し、第1回卒業式も無事に迎えられました。

その後、開校10周年（1988年）や20周年（1997年）の記念式典が行われましたが、2000年代に入ると生徒数の減少が顕著になり、2003年からは入学生が2学級となりました。そして2006年 4月1日には、六日町高校への統合に伴い募集が停止され、閉校へのカウントダウンが始まりました。

閉校に向けて、2007年には閉校記念植樹や記念プレートの除幕式、そして多くの卒業生や関係者が集まる閉校記念式典・惜別の会が開催されました。2008年 3月4日には最後の卒業式が行われ、残っていた生徒たちが学び舎を巣立ちました。そして2008年 3月31日、新潟県立湯沢高等学校はその歴史に静かに幕を下ろしました。

学校生活と特色

湯沢高校では、年間を通じて様々な学校行事が行われていました。学期ごとに行われる中間考査や期末考査のほか、体育祭やクラスマッチで生徒たちが親睦を深め、秋には文化祭である雪渓祭が開催され、日頃の活動の成果を発表する場となっていました。

部活動も盛んで、スキー、野球、サッカー、陸上、バスケットボール、テニス、バドミントンといった運動部のほか、美術、写真、茶道、音楽、家庭、マイコンといった文化部がありました。特に、スキー部からはオリンピックでメダルを獲得した小野塚彩那選手や、ソルトレイクシティオリンピックに出場した下山研朗選手など、世界レベルで活躍する選手を輩出しています。

また、湯沢高校はフィクション作品にも登場しています。1984年の映画『Wの悲劇』では登場人物の出身高校として名前が挙げられ、しげの秀一氏の漫画『トンネルぬけたらスカイ☆ブルー』では、主人公たちが通う高校のモデルになったと言われています。

交通アクセス

最寄駅はJR上越線の岩原スキー場前駅で、駅から学校までは徒歩で約15分でした。

閉校後の現在

湯沢高校の校舎は閉校後に取り壊され、その敷地は新たな学校施設である湯沢学園として活用されています。かつて高校生たちの声が響いた場所で、現在は幼小中連携教育が行われています。

湯沢高校の歴史は閉じられましたが、その学び舎から巣立った多くの卒業生は、それぞれの分野で活躍しており、地域の記憶の中にその存在は今も息づいています。

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