新羅丸

新羅丸（しらぎまる）

新羅丸は、鉄道省が運行した関釜航路および青函航路での鉄道連絡船です。この船は高麗丸型の第2船であり、同型の姉妹船には高麗丸が存在します。その船名は、古代の朝鮮半島南東部にあった新羅という国に由来しています。

航跡と就航の歴史

新羅丸の航跡は、1912年に開設された関釜航路と密接に関連しています。この航路は、当初壱岐丸と対馬丸という2隻が運航していましたが、新たに新橋-下関を結ぶ特急列車の運行が始まったことが航路の発展を促進しました。この特急列車は釜山から奉天へ直通しており、多くの利用者を惹きつけることとなります。この状況に伴い、関釜航路にはより大型の船が必要となりました。

新造船の建造は1912年に川崎造船所で始まり、最初の船である高麗丸は1913年の初めに就航し、続いて新羅丸も同年3月に運行を開始しました。船の設計には工夫が見られ、機関の故障時でも航行が可能となるように帆走用のマストが設置されていました。また、内装に関しても前の船では不評だった多段ベッドが廃止され、畳敷きの広間といった改良が施され、乗客にとって快適な空間が提供されるようになっています。

連絡船としての運行

新羅丸は1913年4月から関釜航路での運行を開始しました。1925年には無線電話が設置され、通信の利便性も向上しました。さらに、1932年の第一次上海事変の際には、陸軍の病院船として宇品から上海間で使用されました。この時期、新羅丸はさまざまな役割を担っていました。

1937年には貨物専用船に改造された後、1941年には青函航路の輸送力を高めるための臨時航路でも就航しました。そして1942年6月に青函航路に正式に転属となります。1944年には海軍に貸与され、その後も新潟-大泊間や大湊-択捉島の臨時航路でもその姿を見せました。

沈没とその後

しかし戦局が厳しくなる中、1945年5月25日に修理を終えた新羅丸は下関に向かっていたところ、関門海峡の部埼灯台沖で触雷により沈没してしまいました。この出来事は新羅丸の歴史に幕を下ろすこととなります。

船長と運営

新羅丸の初代船長は松原善之助であり、彼は1913年3月14日からその職務に就いていました。彼の指揮のもと、新羅丸は多くの航行を成功裏に遂行し、重要な輸送手段となっていました。

新羅丸は、関釜航路や青函航路において重要な役割を果たした船舶であり、日本と朝鮮半島を結ぶ歴史的な存在です。

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