頼瑜

頼瑜（らいゆ）は、鎌倉時代中期から後期にかけて真言宗で活躍した僧侶です。嘉禄2年（1226年）に紀伊国那賀郡で土生川氏として生まれ、嘉元2年1月1日（1304年2月7日）に生涯を閉じました。字は俊音、号は俊音房と称しました。

修学時代

頼瑜は高野山大伝法院で密教の基礎を学んだ後、南都（現在の奈良）に移り、三論宗、華厳宗、瑜伽行派、唯識派といった様々な宗派の教えを深く学びました。その後、広沢流と報恩院流という真言宗の流派を修め、密教の奥義を極めました。これらの学びを通じて、彼は仏教全般に対する深い知識と、密教に対する卓越した理解を培いました。

高野山での活動と中性院流の開創

頼瑜は、高野山大伝法院と醍醐寺という真言宗の二大拠点で活動しました。文永9年（1272年）には、高野山の中性院の住持に就任し、その寺院を統括する立場となりました。実勝から灌頂（密教における重要な儀式）を受けた後、弘安3年（1280年）には、自らの教学体系である中性院流を開創しました。これは、彼の仏教に対する深い理解と、独自の解釈に基づいたものでした。

根来寺への移転と新義[[真言宗]]の基礎

しかし、中性院流の開創は、高野山の金剛峯寺との間に摩擦を生じさせることになりました。正応元年（1288年）、頼瑜は大伝法院と密厳院を紀伊国根来寺に移し、新たな活動拠点としました。この移転は、従来の真言宗の教学に新しい解釈を加えた新義[[真言宗]]の基礎を築く上で、重要な転換点となりました。根来寺において、頼瑜は新義[[真言宗]]の教義を確立し、後世に大きな影響を与えました。

著作活動

頼瑜は、その生涯を通じて、多くの著作を著しました。これらの著作は、彼の深い学識と密教に対する理解を示すものであり、今日でも重要な研究資料となっています。

主な著作は以下の通りです。

大日経疏指心鈔：大日経の注釈書。
十住心論衆手鈔：十住心論に関する注釈書。
秘藏寶鑰勘註：秘藏寶鑰の注釈書。
二教論指光鈔：二教論に関する注釈書。
即身義顕得鈔：即身成仏の教義に関する著作。
聲字義開秘鈔：真言の教義に関する著作。
吽字義探宗記：真言の一つである吽字に関する著作。
真俗雜記問答鈔：仏教における真と俗に関する問答をまとめた著作。

これらの著作は、頼瑜の卓越した学識と、仏教に対する深い洞察を示すものです。彼の教えは、新義[[真言宗]]の基礎となり、後世の仏教界に大きな影響を与えました。

頼瑜は、その生涯を通じて、真言宗の発展に大きく貢献した僧侶であり、その足跡は今日でも多くの人々に敬意をもって受け継がれています。

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