新見吉治

新見吉治

新見吉治（1874年10月9日 - 1974年11月4日）は、日本の歴史学者、教育学者として知られています。

経歴

愛知県名古屋市に生まれ、旧尾張藩の御手筒同心の家柄でした。旧制第一高等学校を経て、東京帝国大学（現在の東京大学）文科大学史学科を卒業。1903年には広島高等師範学校に赴任し、日本で初めて「歴史教授法」を開講しました。この業績は、歴史教育の分野における先駆的な試みとして評価されています。

1908年からはライプツィヒ大学に留学し、著名な歴史家であるカール・ランプレヒトに師事しました。ランプレヒトのもとで西洋史学を深く学び、1912年に帰国。1916年には、「Die Geschichte der Buke－ Herrschaft in Japan」（邦訳『日本における武家政治史』）という研究で文学博士号を取得しました。この研究は、日本の武家政治の歴史を詳細に分析したもので、当時の歴史学界に大きな影響を与えました。

1929年には広島文理科大学の教授に就任し、史学科の初代主任教授として、国史学と西洋史学を専門に教鞭を執りました。1938年に定年退官し、名誉教授となりました。しかし、戦後には公職追放となり、1951年に追放解除となりました。

新見吉治は、江戸時代の武士に関する研究でも多くの業績を残しています。徳川林政史研究所研究員、大倉精神文化研究所研究員も務め、多岐にわたる研究活動を展開しました。

著書

西洋史 統一中等歴史教科書　　六盟館 1917以前
猶太人問題 中央融和事業会 1927年
歴史教育論　　同文書院 1934
ナチス祖國愛の教育　　三友社 1935
新制西洋史教授資料　　六盟館 1935
女學校用西洋歴史（改訂版）教授資料　　六盟館 1936
武家政治の研究　　中文館書店 1936（史學研究叢書 第1）
家族主義の教育　　育芳社 1937
すめらみくに　　同文書院 1938
日本に於ける武家政治の歴史　舟越康寿訳　　創元社 1941
家と戸籍 日本法理叢書　　日本法理研究會 1942
結婚の目標は何か 世界比較婚姻史 日高書房 1948.9
社会科のための歴史教育　　天満社 1950
下級士族の研究 日本学術振興会 1953 （巌南堂書店 1979）
壬申戸籍成立に関する研究 日本学術振興会 1959 （巌南堂書店 1979）
旗本 吉川弘文館 1967（日本歴史叢書）
分け登る歴史学の山路 新見吉治先生頌寿記念刊行会 1969
新国史眼 錦正社 1972（国学研究叢書）
家族主義の教育 クレス出版 1999（「家族・婚姻」研究文献選集） 復刊

翻訳

社会学と政治 グムプロウヰッツ 柴山鷲雄共訳 社会学研究会 1902

新見吉治の研究は、日本の歴史学、教育学に大きな足跡を残し、後世の研究者や教育者に多大な影響を与えました。彼の業績は、今もなお高く評価されています。

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