新選組始末記

新選組始末記の概要と影響

『新選組始末記』は、著者子母澤寛によって書かれた小説で、新選組という幕末を彩った組織に焦点を当てた作品です。この書籍は、関係者への取材を織り交ぜた内容から、新選組に関する重要な資料として位置付けられています。さらに、その後の幕末をテーマにした多くの創作作品に多大な影響を与えたことでも知られています。

作品の成立過程

子母澤寛は、彰義隊隊士であり箱館戦争を経験した祖父を持つ著者です。彼は、読売新聞の記者として近藤勇の取材を行う中で、新選組に興味を抱き、徹底した研究を始めました。1923年頃、幕末史の権威である尾佐竹猛や井野辺茂雄、藤井甚太郎などの研究者を訪ねて、新選組についての情報を掘り下げていったのです。

1976年に東京日日新聞に移籍した後、1928年に『新選組始末記』を万里閣書房から出版し、その後も作品を発表し続けました。この出版物にはオリジナルの文書に加え、他の関連作品が含まれており、著者自身による改訂も施されています。1969年には、それらを集めた角川文庫版が登場しました。

作風と評価

本書は、単なる娯楽的小説という枠を超え、随筆や記録としての側面も持っています。子母澤は、取材によって集めた幕末の貴重な資料を活用しており、自身の言葉で歴史を語ろうと試みましたが、その内容が必ずしも学術的な史実とはいえないことも自ら認めています。この点については、彼が後書きで「生き残りの老人のはなしは、疑わしいものもあったが、現実的な話そのもののおもしろさをなるべく聞きもらすまいと心がけた」と述べていることに表れています。

また、著名な作家である司馬遼太郎は、子母澤と対談した際に『新選組始末記』の影響を語り、彼の作品への強い敬意を表しました。これは、著作の持つ魅力や社会への影響を示す良い例です。

映像作品について

この作品は多くの映像化もされており、1961年から1962年にかけてTBSで放送されたテレビドラマや、1977年に放送された新たなドラマ版、さらには1963年に公開された映画もあります。これらの映像作品は、原作の世界観を視覚的に表現し、多くの視聴者に新選組の姿を伝えました。

主要なキャスト（映画およびドラマ）

• - 映画（1963年）: 市川雷蔵（山崎烝）、若山富三郎（近藤勇）、天知茂（土方歳三）など。
• - テレビドラマ（1961年）: 中村竹弥（近藤勇）、戸浦六宏（土方歳三）など。
• - テレビドラマ（1977年）: 平幹二朗（近藤勇）、古谷一行（土方歳三）など。

舞台化と最新の展開

最近では、2022年に舞台としても上演され、新たな形で物語が展開されました。このように、時代を超えて愛され続ける『新選組始末記』は、幕末の歴史を知る上で欠かせない作品であり、様々なメディアを通じてその魅力が発信されています。

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