子母澤寛

子母澤寛（しもざわ かん）

概要

子母澤寛は1892年に北海道厚田村で生まれ、本名は梅谷松太郎です。彼は日本の小説家として知られ、主に幕末や明治時代を題材にした作品を数多く残しました。1959年に第10回菊池寛賞を受賞し、歴史小説の分野で非常に高い評価を受けています。

家族と幼少期

彼の祖父、梅谷十次郎は江戸幕府の御家人であり、彰義隊に参加し、箱館戦争では捕虜となりました。しかし、彼は後に釈放され、札幌へ移り住むなかで漁業を営みました。この祖父は地元での有力者であり、子母澤は幼少期から彼に愛情を注がれ育てられました。母親と早くに別れた子母澤は、祖父の顧みの中で強い絆を育んでいきました。

教育と初期の職業

函館庁立商業学校に進学するも、1907年の函館大火により学校が焼失、退学を余儀なくされます。その後、札幌に移住し、北海中学校を経て明治大学専門部法科を卒業しました。弁護士を志望しましたが、地元で材木会社に勤務していた時期もあり、1918年に再び東京へ上京し、電気商として働いてから読売新聞社に入社しました。

文学活動

子母澤は新聞記者としての仕事と並行して、旧幕臣の聞き書きをまとめることに情熱を注ぎました。1928年には『新選組始末記』を発表し、以降『新選組遺聞』『新選組物語』の三部作を形成しました。これにより彼は、幕末を描いた小説家としての地位を築き、後の作家たち（司馬遼太郎や池波正太郎など）にも影響を与えました。

代表作

子母澤の作品には『勝海舟』（この作品は後に大河ドラマとしても放送されました）、『国定忠治』、そして随筆『ふところ手帖』などがあります。彼の筆名、子母澤は居住地に由来し、「寛」という文字は語感が良いため選ばれたと言われています。

晩年

1962年には菊池寛賞を受賞し、彼は日本文学に大きな足跡を残しました。1968年には神奈川県の自宅で心筋梗塞のために亡くなり、戒名は慧光院文宗日寛居士です。彼の作品は、今もなお多くの読者に愛され続けています。

主な著書

• - 『新選組始末記』
• - 『新選組遺聞』
• - 『幕末巷談』
• - 『勝海舟』
• - 『国定忠治』

子母澤寛は日本の歴史や文化を深く掘り下げた作品を通じて、日本文学界に重要な影響を及ぼした作家です。彼の作品は、歴史的な視点だけでなく、人間ドラマや社会の様子を生き生きと描写することで、今でも多くの読者に感動を与えています。

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