新里町 (宇都宮市)

新里町：歴史と自然が織りなす宇都宮の里

概要

栃木県宇都宮市北西部に位置する新里町は、甲、乙、丙、丁の4つの区域から構成される地域です。明治時代初期までは東新里村と西新里村として存在し、それぞれ独立した名主がいました。明治22年、近隣の村と合併して国本村となり、昭和29年には宇都宮市に編入合併されました。

地理と周辺環境

新里町は、三方を丘陵に囲まれた広大な地域で、その約3分の2を山林が占めています。南東部には平地が広がり、全域が市街化調整区域に指定されています。北西部は日光市と隣接し、国道293号と栃木県道22号大沢宇都宮線が町内を縦断しています。鞍掛山、半蔵山、雲雀鳥屋などの山々や、姿川が町の自然環境を特徴づけています。周囲には、石那田町、徳次郎町、宝木本町、岩原町、田下町、福岡町、駒生町、大谷町、そして日光市の猪倉地区が隣接しています。

宇都宮市の地域区分では、新里町は国本地区に含まれ、日常生活圏域は「くにもと地区」に属します。自治会区域は、大部分が国本地区ですが、一部は富屋地区に含まれます。

教育

新里町の児童生徒は、宇都宮市立国本西小学校と国本中学校の学区に属します。ただし、申し出があれば、国本西小学校・国本中学校の通学区域から、富屋小学校・晃陽中学校に変更することも可能です。


甲乙丙丁の由来

新里町では、住所表示に「甲」「乙」「丙」「丁」を用いています。これは明治4年の地券制度による徴税準備に由来します。国本村の他の地域がそのまま大字とされたのに対し、新里村は広大だったため4分割され、区分符号として「甲乙丙丁」が付与されました。この区分けは、土地台帳だけでなく、戸籍や住所表示にも用いられました。昭和37年の住居表示に関する法律施行後、甲乙丙丁を含まない住所表示も可能となりましたが、現在も甲乙丙丁を用いた住所表示が用いられています。


歴史

新里町の歴史は古く、奈良時代には「犬飼庄新里郷」として記録されており、古代から集落が存在したことがわかります。新里郷は現在の新里町だけでなく、周辺地域も包含していました。宇都宮氏の祖であるとされる藤原宗円の埋葬地と伝えられる宗円塚や、宗円ゆかりの獅子舞が伝承されているなど、歴史的な遺構や文化が数多く残されています。戦国時代の史料にも「新里郷」の記述があり、壬生氏の所領であったことが分かっています。近世には下野国河内郡に属し、宇都宮藩の支配下に置かれました。東新里と西新里に分かれていた村は、明治の大合併を経て国本村の大字新里となり、昭和の大合併で宇都宮市の町・新里町となりました。

町名の由来については諸説あり、「新しい里」という意味だと推測されていますが、「西里」という表記の古文書の存在から、必ずしも定説があるわけではありません。

経済と産業

2015年の国勢調査によると、新里町の15歳以上の就業者数は約1400人。産業別では、製造業、卸売業・小売業、建設業が上位を占めています。2014年の経済センサスでは、事業所数は122、従業者数は約1100人でした。中小規模事業所が多くを占めています。

農業

農業は町の重要な産業です。2015年の農林業センサスによると、農林業経営体数は84経営体、農家数は126戸。稲作が盛んで、「新里ねぎ」とサトイモが特産品として知られています。サトイモは古くから宇都宮市域で栽培されてきた伝統野菜です。


主な施設

新里町内には、鶴カントリークラブ、栃木県ライフル射撃場、道の駅うつのみや ろまんちっく村、天然温泉 湯処あぐり、フェアフィールド・バイ・マリオット栃木宇都宮などの施設があります。また、小中学校、郵便局、コンビニエンスストアなども整備されています。

史跡

新里町には、高橋館跡、大堀館跡、岩本観音などの歴史的史跡が残されています。高橋館跡と大堀館跡は、それぞれ高橋氏と半田氏の居館跡で、現在も子孫が居住している、歴史を感じさせる場所です。岩本観音は磨崖仏で、地域の信仰の中心として大切にされています。


参考文献

塙静夫『うつのみやの地名と歴史散歩』下野新聞社、2015年
稲川彰一 編『増補 栃木県の地名の故事来歴』竹林書室、1982年
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 9 栃木県』角川書店、1996年
平凡社地方資料センター 編『栃木県の地名』平凡社、1988年
* 『県別マップル9 栃木県道路地図』昭文社、2019年

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