新野駅 (徳島県)

新野駅（あらたのえき）は、徳島県阿南市新野町信里に所在する、四国旅客鉄道（JR四国）牟岐線の鉄道駅です。駅番号はM16が与えられています。

この駅は、かつて独立した自治体であった新野町（その後の合併により橘町、現在の阿南市となる）の中心地への玄関口としての役割を担うべく開設されました。駅周辺は、住宅が点在する田園風景が広がる農村地帯といった趣があります。かつて旧新野高等学校（現在は徳島県立阿南光高等学校の新野キャンパスとして存続）が存在した際には、その最寄り駅であったことから、多くの高校生に利用されていました。この学生利用の影響は大きく、特急列車が臨時停車する隣の桑野駅よりも、日常的な乗降客数が多い時期もあるほどです。

新野駅は、昭和12年（1937年）6月27日に開業しました。昭和45年（1970年）4月1日には貨物の取扱いが廃止され、続いて昭和47年（1972年）11月1日には駅業務が民間へ委託されることとなりました。さらに昭和59年（1984年）2月1日には荷物の取扱いも廃止されると共に、駅員の配置されない無人駅となりました。国鉄分割民営化に伴い、昭和62年（1987年）4月1日からはJR四国の運営する駅となっています。平成23年（2011年）3月12日のダイヤ改正では、特急「むろと」の一部列車が停車するようになりました。しかし、駅における設備の合理化は進み、平成31年／令和元年（2019年）4月以降には設置されていた自動券売機も撤去されています。そして、令和7年（2025年）3月15日のダイヤ改正をもって特急「むろと」の運行が終了する計画であり、これにより当駅に停車する優等列車は消滅することになります。

駅の構造は、地上に配された単式ホーム1面1線を有しています。かつては島式ホーム1面2線で列車交換が可能でしたが、その設備は撤去され、現在は片側の線路のみが使用されています。阿南駅が管理する無人駅であり、昔ながらの木造駅舎が現在も残されています。国鉄時代に無人化された後、JRとなってからも一時的に簡易委託駅として窓口での乗車券販売が行われていましたが、現在はその出札口も塞がれて利用できません。自動券売機も過去に設置された時期がありましたが、こちらも既に撤去されています。駅舎内にあったトイレも、平成31年（2019年）6月には出入口が板で塞がれ、利用できなくなりました。ただし、駅舎の外には飲料の自動販売機や公衆電話、郵便ポストが設置されており、利用可能です。

過去には、当駅を始発または終着とする普通列車が複数設定されていた時期もありました。

駅の周辺には、生活や教育に関する施設が点在しています。行政機関としては阿南警察署新野町駐在所があり、金融機関や郵便局としては日本郵便花坂簡易郵便局や徳島大正銀行新野町出張所が利用できます。教育機関では、阿南市立新野東幼稚園・小学校のほか、徳島県立阿南光高等学校新野キャンパスが最寄りの教育施設です。また、四国八十八箇所霊場の第22番札所である平等寺、その奥の院である月夜御水庵といった宗教施設も比較的近い場所に位置しており、阿南室戸歴史文化道の一部をなしています。その他、阿南農業協同組合新野支所の直売所や、日亜化学工業の新野工場（創業地であり旧本社工場）などがあります。駅周辺には桑野川や廿枝川が流れ、徳島県道24号羽ノ浦福井線、徳島県道35号阿南相生線、徳島県道176号新野停車場線といった主要な道路が通っています。

駅の約90メートルほど離れた徳島県道35号線沿いには、「新野駅前」バス停留所があり、徳島バスの新野線が発着しています。

JR四国牟岐線の普通列車においては、隣駅は阿南方面が桑野駅 (M15)、海部方面が阿波福井駅 (M17) となっています。

（注：新野駅という名称の駅は、兵庫県姫路市にもJR播但線に存在しますが、そちらは「にいの」と読み、当駅とは異なります。）

もう一度検索